データでわかるベトナム

【第26回】これを歌えば大人気!? ベトナム人が知ってる日本の曲

2016年07月01日公開

ベトナム人が「海外の歌」というと思い浮かべるのは、いわゆる洋楽だったり、韓流だったりで、日本の曲が頭に浮かぶ人はあまり多くありません。ですが、日本人が「海外で人気の邦楽はアニメソング」と考えがちなのとは裏腹に、ベトナム人に知られている日本の曲は思いのほかたくさんあります。

今回は、ベトナム人がどんな日本の歌を知っているのかについて調べてみました。
 

ベトナム人の知っている日本の歌 BEST 15

まず、ベトナム人に馴染みが深いと思われる日本の歌15曲を選び、ベトナム人200名にベトナム語バージョン(無い場合は日本語原曲)を聴いてもらって、曲名を回答できた人の割合を調査しました。15曲の順位と曲名を答えられた人の割合は、下の表のとおりです。

順位 曲名 歌手名 回答割合 越語タイトル 越歌手の
カバー有無
1 桜色舞うころ 中島美嘉 20.7% Xe Đạp
(自転車)
2 ルージュ 中島みゆき 18.3% Người Tình Mùa Đông
(冬の恋人)
3 美しい昔 天童よしみ 16.9% Diễm Xưa
(美しい昔)
ベトナム
が原曲
4 もう恋なんてしない 槇原敬之 12.3% Baby I love you
5 ドラえもんのうた 大杉久美子 10.5% Bài hát Doraemon
(ドラえもんのうた)
6 Depend on you 浜崎あゆみ 10.0% Ban Mai Tình Yêu
(朝の恋)
7 心の友 五輪真弓 8.5% Khi Cô Đơn Anh Gọi Tên Em
(孤独な時貴方は私の名を呼ぶ)
8 For フルーツバスケット 岡野津子 8.5% Cánh Đồng Bồ Công Anh
(たんぽぽの野原)
9 恋人よ 五輪真弓 7.8% Người Yêu Dấu Ơi
(恋人よ)
10 雪の華 中島美嘉 6.8% Xin Lỗi Em Yêu Anh
(ごめん、愛してる)
11 愛人 テレサ・テン
(Đặng Lệ Quân)
6.0% Tan Tác
(離れ離れ)
12 空港 テレサ・テン 5.4% Cánh Chim Bạt Gió
(翼が風にのって)
13 蒼いうさぎ 酒井法子 5.0% Chú Thỏ Xanh Màu Ngọc Bích
(蒼いうさぎ)
14 ここにいるよ 青山テルマ 2.9% Koko ni iruyo
(ここにいるよ)
15 神田川 かぐや姫 2.9% Nụ Hôn Vĩnh Biệt
(永別の口づけ)
※青文字のリンクをクリックすると外部サイトで曲を視聴することができます

 
1位は中島美嘉の「桜色舞う頃」 でした。10代~20代の女性を中心に認知度が高い曲です。若い世代に人気の トゥイ・チー(Thùy Chi)M4U がデュエットでカバーしたことから人気を博しています。但し、題名や歌詞は原曲と全く異なっており、ベトナム語版の題名は「Xe Đạp(自転車)」で、歌詞は学生向けの内容になっています。

2位は中島みゆきの「ルージュ」。 こちらは南部の女性を中心に認知されています。この曲は南部出身の有名歌手 ニュー・クイン(Như Quỳnh) によってカバーされたことで知られるようになりましたが、彼女自身が歌手として注目を集めるようになったきっかけの曲でもあります。ベトナム語版は中国語版から翻訳されており、題名も「Người Tình Mùa Đông(冬の恋人)」となっています。

3位は天童よしみの「美しい昔」 で、女性の間での認知度の高い曲です。しかし、この曲は他の曲とは異なり、ベトナム語の原曲を日本人歌手がカバーしたものです。ベトナムの国民的作曲家 チン・コン・ソン(Trịnh Công Sơn) と女性歌手 カイン・リー(Khánh Ly) が1970年に日本で出したレコードの一曲に「雨に消えたあなた(美しい昔)」がありました。「美しい昔」は1978年、NHKドラマ「サイゴンから来た妻と嫁」の主題歌となり、その後、天童よしみなどにカバーされました。

4位の槇原敬之の「もう恋なんてしない」 は、20代から30代を中心に認知されています。こちらも人気歌手の ウン・ホアン・フック(Ưng Hoàng Phúc) にカバーされ、人気が出ました。失恋の定番ソングとして知られる原曲ですが、ベトナム語版での題名は「Baby I Love You」。原曲よりアップテンポになっており、歌詞の内容も含め、ベトナムでは求愛ソングに変わっています。

5位は「ドラえもんの歌」 です。ベトナムで大人気のアニメ「ドラえもん」の主題歌は、若者を中心に認知されています。この曲のベトナム語版カバー曲は存在しないのですが、「ドラえもん」が30年以上もベトナムで放送されていることから、日本語とはいえ認知度が極めて高い曲です。

 
以上、今回のランキングはいかかでしたか。日本の懐かしい名曲が、異なる歌詞・メッセージでベトナムに広まっていることに驚きます。ベトナム人スタッフとカラオケなどいった際に、これらの曲を歌ってみると、ベトナム人スタッフとの距離も縮まるのではないでしょうか。

株式会社Asia Plus代表取締役社長 黒川賢吾

株式会社Asia Plus ( www.asia-plus.net )代表取締役社長。

NTT、ソニー、ユニクロにて海外マーケティングを担当。

2014年にAsia Plusを設立しベトナムマーケットリサーチサービス「Q&Me( www.qandme.net )」を展開中

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