新聞売りのおじちゃん

2015年09月23日公開

そう、あれは、今年最後のベトナムの祝日、 9月2日の建国記念日(国慶節) のことでした。

家の近くの商店なんかもお休みで、閑散とした午後、主人は日本からのお客様のアテンドでランチを食べに行ったので、私は家にひとり。

何を食べようか迷った挙句、行きたいようなお店が閉まっていることもあり、近所のローカルのフォー屋さんへ行きました。

じゃん!特大フォー! ってちがうちがう、これは 主人が挑戦したときのもの。
私が食べるのは左のサイズで、もっとローカルチックで、おしゃれに言えば「オープンエア」のお店です。

食べる前に、もやしを大量に入れて、ライムを絞り、香草もたっぷり入れます。

ローカル店に行くと、ぼられるのが怖いので、なるべく言葉を発せず、 咳込んだふりをしながらオーダーします(発音がおかしいのがバレないコツ、おススメです)。
お店の人は愛想よく、いろいろ話をしてくれました。

新聞売りのおじちゃん登場!

で、食べていると、新聞売りのおじちゃんが入ってきました。

ここベトナムでは、お店の中にいろんな人がいろんなものを売りに来てもOKな国なので、通りに面したご飯やさんなんかだと、ゆで卵や裂きイカを売りに来たりします。たまに手品を披露して、最後にガムやペンを客に売っている人もいます。

建国記念日だし、新聞にどんな記事が載ってるのかベトナム語の勉強も兼ねて読みたいなー、と思ってたら来ました、おじちゃんが。

発音がおかしいのがバレないコツをすっかり忘れて、ベトナム語でとっさに「いくら?」と声を発してしまいました。あちゃ!と思ったのですが、そのおじちゃんは、顔に温かい笑みを浮かべながら、静かに「8000VND」と言いました。

8000VND(約43円)!?

日本だと確か新聞て1部150円ぐらいしてたし、多分おっちゃんコレ、定価やん。

今の私の言葉で絶対、外国人だとわかって吹っかけてくると思いきや・・・。

 
胸が熱くなりました。

 
1万VND札を差し出し、釣りはいらないと言いました。

おじちゃんはまた温かい笑みを浮かべて「ありがとう」と言い、去っていきました。

私は残りのフォーをすすりながら、温かい気持ちでいっぱいに・・・・・・

なったのもつかの間。
新聞の表紙に定価が書いてあった。

 
 
3700VND(約20円)

 
 
チョイオーイ! 倍以上やん!

この8000VNDのありがたーーい新聞をすぐさま捨てるわけにはいかない、と持って帰って来て、マンションの警備員さんにさっきの出来事を話したところ、「元値は3700VNDちゃうで。それ、 どこかで拾ったリサイクルやから タダやで

 
 
チョイオーーーーーーーーイ!

佐井加奈子

ベトナム在住暦3年になる佐井家の嫁。関西出身とだけあっていつでもアメちゃんを持ち歩きことあるごとに周りに恵んでいる。

本コラムでは、ベトナムで生活している日本人主婦の独特な目線からベトナムを丸裸にしていく。

2015年2月、ホーチミンからダナンに引越したのを機に「ホーチミンの中心で “チョイオーイ” と叫ぶ」から「ダナンの中心で “チョイオーイ” と叫ぶ」に改題。

2016年11月、日本へ帰国。

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