ライチ / Vải

2015年06月22日公開

[日] ライチ、レイシ(茘枝)
[越] Vải(ヴァイ)
[英] Lychee(中国語から)
[学] Litchi chinensis (ムクロジ科)
[原産] 中国南部
[サイズ] 一粒の直径3~4cm

旬が短い、5月後半~7月前半

中国の楊貴妃がこよなく愛したといわれることで有名なライチは、中国の果物というイメージがあると思いますが、中国のどこでも採れるわけではなく、南部の比較的暑い地域の果物。ベトナムでも広く栽培されていますが、ライチの木は落葉樹で、気温が10℃近くまで下がらないと結実しないため、冬のある北部で栽培されています。

旬は、早生ものが5月後半から市場に出回りはじめ、売られるのは7月前半ぐらいまで。北部から輸送されるため、南部ではほんの10年前はかなり高価な果物で、出回る量も少なかったですが、輸送システムが発展するにつれて大量に安く手に入るようになりました。枝つきのほうが長持ちするため、実のついた枝を花束のように束ねて売っています。

ベトナムでライチ栽培が最も盛んなのは、北部の バクザン省 のルックガン(Lục Ngạn)郡ですが、最もおいしいとされる ヴァイチェウ(Vải thiều) という品種は、ハイズオン省 のタインハー(Thanh Hà)郡のものが有名です。ヴァイチェウは種が小さく、香りがとても良いと言われています。

みずみずしく上品な甘さ


© VIETJO Life

外皮はピンク色ですが、早生ものは少し黄緑色をしています。うろこのような皮は少しパリパリとしていて、簡単に手で剥くことができるため、手軽に食べられるのがいいですね。果肉は乳白色でとてもジューシー。ほのかな酸味と上品な甘さ、そして濃厚な香りがなんともバランスが良く、楊貴妃が愛したのも頷けます。果肉の中央には黒くて表面がツルツルした硬い種がひとつ入っています。


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枝を切り取った付け根の部分に爪を入れて皮を剥くのですが、皮の渋ですつに爪が真っ黒になり、なかなかとれません。枝から落ちてしまったものは仕方ないですが、枝が長く残っているものは、枝を引っ張って剥くと、爪の汚れを軽減できると思います。


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来客に出すときは、手が汚れないよう、枝のついていたところから皮の部分にぐるっと一周切込みを入れます。皮を開いて実を頬張れば良いので、手が汚れにくく、種を皮の中に出すこともでき、上品に食べることができます。

ライチのビタミンCはグレープフルーツと同じ

ライチには、 糖質ビタミンC葉酸 などが豊富です。ビタミンCはグレープフルーツと同程度含まれています。ビタミンCは抗酸化作用、肌の若返り効果が期待できるほか、免疫力の向上、生活習慣病の予防などの効果があります。ライチの葉酸の含有量は果物のなかでトップクラスで、ベトナムでも葉酸が必要な妊娠中は積極的にとるべきと言われています。

食べすぎによる「ライチ病」に注意!

但し、食べすぎには注意が必要。糖質が多いですので、ダイエット中や糖尿病の方など糖質を避けるよう言われている人は食べないほうがいいでしょう。妊婦も糖質のとりすぎは良くありませんのでほどほどに。また、ベトナムでライチは 「熱い食べ物」 と言われており、体に熱をこもらせて吹き出物を引き起こすと言われていますし、たくさん食べると喉がイガイガしてきて、扁桃炎を引き起こすこともあるそうです。

中国ではライチの季節になると出る症状を 「ライチ病」 というのだとか。ライチを食べ過ぎたことで、めまいや発汗、顔面蒼白、動悸、脱力感、腹痛、下痢などの症状が出るのだそうです。

ベトナムのある医者も 「1日10粒ぐらいまでが適量」 と言っており、本当に食べすぎは良くないようです。小さなお子さんは特に「ライチ病」にかかりやすいので、注意が必要です。ライチの皮を剥いて塩水につけたり、冷蔵庫でよく冷やしてから食べると、症状を予防することができるそうです。

保存の仕方

ライチは常温だとすぐに味が落ちてしまいますので、冷蔵庫で保存する必要がありますが、乾燥すると皮が変色して硬くなり、果肉のみずみずしさが失われてしまいます。そのため、水洗いをした後、軽く水気を切り、 ビニール袋に入れて野菜室で保管 すると良いでしょう。そのとき、ついている枝は切らず、残したままにしておくと、1週間程度持たせることができます。旬が過ぎてもどうしても食べたい、という方は、ジューシーさは失われてしまいますが、冷凍保存も可能です。

【ポイント】おいしいからといって食べすぎは禁物!枝つきのまま冷蔵庫でよく冷やしてから食べましょう。