トゲバンレイシ / Mãng cầu Xiêm

2016年03月24日公開

[日] トゲバンレイシ(棘蕃茘枝)、サワーソップ、シャシャップ、オランダ・ドリアン、グゥアバノ
[越] Mãng cầu Xiêm(マンカウシエム)、Mãng cầu(マンカウ)、Mãng cầu gai(マンカウガイ)、Na Xiêm(ナーシエム)、Na gai(ナーガイ)
[英] Soursop
[学] Annona muricata(バンレイシ科)
[原産] 西インド諸島、ペルーなど中南米
[サイズ] 縦直径20~30cm、自家栽培だと50cmのものも

見た目はゴツイが味は爽やか

写真を見る限り、トゲトゲがいっぱいついている上、直径30cmとかなり大ぶりでずっしりと重いため、ドリアンのように南国特有のクセのある果物だと思われがち。でも、 トゲバンレイシ という名前からわかるように バンレイシ(シャカトウ=釈迦頭) の仲間で、バナナとパイナップルを混ぜたような爽やかな味。バンレイシよりも酸味があり、繊維が多いので、後味がさっぱりしています。

バンレイシは漢字で書くと「蕃茘枝」で、「外国から来た ライチ のような果物」という意味。バンレイシがライチを大きくしたような形をしているからなのですが、それと同じ種類で表皮にトゲが生えていることから、トゲバンレイシと呼ばれるようになりました。


© VIETJO Life, 熟しすぎて表皮が黒くなってしまいました
 

南部ではトゲバンレイシもバンレイシも「Mãng cầu」

ベトナムの北部ではトゲバンレイシのことをMãng cầu(マンカウ)、バンレイシのことをNa(ナー)と呼んでいますが、南部ではトゲバンレイシのこともバンレイシのこともMãng cầuと言います。そのため南部では両者を区別するために、トゲバンレイシのほうをMãng cầu Xiêm(マンカウシエム、Xiêm=シャムつまりタイ)やMãng cầu gai(マンカウガイ、gai=トゲ)などと呼びます。


© VIETJO Life, 右の小さいものがバンレイシ

トゲバンレイシは輸入物もあるので通年売られているのですが、 ベトナムでの主な収穫期は9月~11月 。南中部以南で栽培されており、特にメコンデルタ地方、中でも ティエンザン省 での栽培が盛んです。
 

疲労回復に有効も、食べすぎには要注意

果肉には、炭水化物、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、カリウム、食物繊維が豊富に含まれています。ビタミンBは 疲労回復 に重要な役割を果たしていると言われているので、疲れたときに摂取するとよいでしょう。

最近ではトゲバンレイシの実と葉が癌に効果があり、抗がん剤の代替治療薬にも用いられているとの話がありますが、英国の研究機関は「効果があると確定できるだけの証拠はない」と発表しています。

更に、 パーキンソン病に似たカリブ諸島の風土病の発症がトゲバンレイシの摂取と関係している との研究結果があります。ベトナムではカリブ諸島の人々ほど頻繁に摂取されていませんので問題はないようですが、好きだからといって過度に摂取しないほうがよいでしょう。
 

切り方、食べ方

トゲバンレイシは切って皮を剥き、そのまま生食できます。但し、種の部分には毒があるそうなので、食べないように気をつけましょう。切るときは、下の図①のように扇型に切ってから皮を剥きます。完熟して実が崩れて皮を剥きづらい場合には、下の図の②のようにまな板の上に置いて包丁を入れると簡単です。


© VIETJO Life

切ってみるとわかるのですが、繊維がかなりしっかりしており、生食では少々食べづらいため、 ベトナムではもっぱら牛乳や練乳と一緒にミキサーにかけたジュース(シントー=sinh tố)にして飲むのが一般的 です。


© VIETJO Life

ジュースにするときは果肉を薄めに切り、ミキサーにかける前に 必ず種を全て取り除きます。 種は果肉の中に隠れていますので、手で潰しながら探って、しっかり取り除きましょう。


© VIETJO Life
 

選び方と保管方法

トゲバンレイシは収穫後に追熟させて食べます。 表面に弾力が出てきて、トゲが黒っぽくなってきたら熟しています。 冷蔵庫に入れると熟しませんので、熟すまでは日陰の涼しい場所で保管します。

冷蔵庫に入れると風味が落ちるといわれており、食べる前に数時間冷やす程度が最もおいしいです。すぐに食べられない場合は、熟した果実を新聞紙などにくるんで冷蔵庫へ。長い間冷やすと表皮が黒くなりますが、5日間ぐらいであれば果肉には問題ありません。半分に切ってしまっても、果肉の出ているところにラップをしておけば保管できます。下に接しているところから痛んできますので、接触部分から先に食べるようにしましょう。長期保存したい場合は、皮と種を取り除いてからラップで包み、冷凍庫へ。

【ポイント】 バナナのような濃厚な香りなのに爽やかな酸味のある果物。疲労回復によいですが、パーキンソン病の発症と関連しているといわれているので、食べ過ぎにはくれぐれも注意を。

 
<トゲバンレイシを使ったレシピ>

シントーマンカウ(シェイク)の作り方