レンブ / Roi, Mận

2016年10月26日公開

[日] レンブ(蓮霧)、ジャワフトモモ(ジャワ蒲桃)
[越] Roi(ゾーイ)、Mận(マン)、Doi(ゾーイ)、Gioi(ゾーイ)、Roi hoa trắng(ゾーイホアチャン)、Bòng bòng(ボンボン)
[英] rose apple, wax apple
[学] Syzygium samarangense(フトモモ科)
[原産] マレー半島
[サイズ] 長さ4~7cm

 

リンゴとナシを合わせたような爽やかな味わい

日本では沖縄の一部で栽培されているだけで、収穫後の日持ちがしない果物なので、めったに見かけることはないと思いますが、ベトナムではとてもポピュラーな果物です。日本語では台湾名の「蓮霧(リェンウー)」が日本語読みされて「レンブ」と呼ばれています。原産はマレー半島で、ベトナムに元々ある果物だからか、ベトナム語の呼び名は地方により様々。主に 北部では「Roi(ゾーイ)」、中部と南部では「Mận(マン)」 と呼ばれています。ちなみに北部で「Mận(マン)」というとスモモのことを指します。


左はスモモ、右はレンブ(参考: 南北で意味が違う越単語8

ワックスをかけたようにつやつやした外見から、英語で「ワックスアップル」と呼ばれています。

実のお尻のほうが膨らんでいて凹みがあり、まるでしぼんだ花のような特徴的な形をしています。表皮は濃いピンクのが多いですが、黒っぽい赤色(上の画像右)、薄いピンク色、薄い緑色のほか、白いものもあります。果肉は白いです。


© VIETJO Life, 種がない品種

リンゴとナシを合わせたような爽やかな味としゃきしゃきした歯ざわり。 さっぱりした甘さと程よい酸味がとても上品な味わいです。後味に若干の渋みがありますが、後を引くような渋みではありません。食後に食べると口の中がさっぱりします。

実を割ると中央には茶色い丸いカラカラの種があって、その周辺がすかすかの海綿状になっているのですが、最近出回っているものは上の画像のように種がないものが多く、種なしのほうが全体的にみずみずしくておいしいです。


© VIETJO Life

ベトナムでは通年で収穫することができますが、 主なシーズンは旧正月1か月前(12~1月ごろ)から6月頃。 南部では家の庭先に植えられていることも多く、特に栽培が盛んなメコンデルタ地方ではあちこちで実がなっているのを見ることができます。北部でも、ハノイにある文廟や一柱寺などに植えられていて、4~5月に白いぼわぼわした花が咲いているのを見ることができます。花が白いので「Roi hoa trắng(ゾーイホアチャン)」(白い花のレンブ)とも呼ばれています。

Hoa của loài roi.jpg
By Bùi Thụy Đào NguyênTác phẩm do chính người tải lên tạo ra
CC BY-SA 3.0, Link

栄養豊富な果物

レンブには、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB(ナイアシン)、食物繊維、カルシウム、鉄分などが含まれており、淡白な味のわりに栄養豊富な果物です。ベトナムでは健康によく手軽に食べられる果物として頻繁に食べます。特に、 ナイアシンが欠乏すると皮膚炎や口内炎、下痢などの症状を引き起こすため、これらの症状のときに食べると症状の緩和が期待できます。
 

食べ方

洗って皮を剥かずに丸ごと食べられますが、へたの部分と下の割れ目の部分は通常食べません。ベトナム人は「割れ目の部分は体に悪い」とよく言いますが、木からもいでそのまま食べると虫がいることが多いため、食べないようにしてきたのではないかと思われます。種も食べられません。


© VIETJO Life

客人に出すときは、半分または4分の1に切って、お尻のくぼみの部分は切り落とすようにすると良いでしょう。種がある場合は種と周囲のフカフカした部分を少し取り除くと良いです。
 

選び方と保管方法

表皮に光沢があり、傷や痛みのないものを選びます。 持ってみて重いものは種がなく実が詰まっていておいしい ですが、軽いものは種の周りがすかすかです。品種としては、このページの画像のような 濃いピンク色をした細長いものが種がなく、みずみずしくておいしい です。保管する場合はビニールにくるんで冷蔵庫の野菜室で。あまり日持ちがしないので、なるべく早く食べましょう。

【ポイント】庭先に植えられている庶民のフルーツ。淡白な味なのに栄養豊富で、皮膚炎や口内炎、下痢などの症状緩和効果あり。選ぶときは実が重いものを。