干支で相性が決まる!?
~ベトナムの人間関係の潤滑油~

2015年09月14日公開

日本で相性を占うのに最も用いられているのは「血液型」ではないかと思うのですが、ベトナムで最も重要視されるのは 「干支(えと)」 。しかも、その重要度は日本の血液型の比ではなく、干支が合わないという理由で周囲から猛反対されて結婚できないというケースも少なくないのです。「自分はそんなの信じないし、仕事では関係ないだろう」と思うかもしれませんが、干支同士の相性を信じているベトナム人が多い分、職場の人間関係や人事にも影響を与える可能性があるため、知っておいて損はありません。

それでは、どの干支同士が相性がいいと思われているのでしょうか? 具体的に見てみましょう。

ちなみに、ベトナムの干支は日本と同じく中国から伝わったものですが、牛→水牛、兎→猫、羊→山羊、猪→豚と若干違う点があります。詳しくは ベトナムの十二支 をご覧ください。また、干支は旧暦の生年月日で見ますので、1~2月生まれの人は旧暦で前年の生まれになる可能性がありますので、占いが気になる人は旧暦の生年を調べておきましょう。

相性の基本は「4つの3角形」と「3つの十字」

干支同士の相性の見方はかなり複雑なのですが、ベトナム人の間で広く知られているのは、干支を円に並べたときに形作られる「4つの三角形」と「3つの十字」の相互関係でしょう。

「4つの三角形」

上の図で色分けした「4つの三角形」は、 「Tam Hạp (Tam Hợp)=三合」 と呼ばれるもの。相性が良い3つの干支を4グループにわけることができます。わかりやすくまとめると、次のようになります。

相性の良い干支グループ
Tỵ(巳=蛇)– Dậu(酉=鶏)– Sửu(丑=牛 / 水牛)
Thân(申=猿)– Tý(子=鼠)– Thìn(辰=竜)
Dần(寅=虎)– Ngọ(午=馬)– Tuất(戌=犬)
Hợi(亥=猪 / 豚)– Mão(卯=兎 / 猫)– Mùi(未=羊 / 山羊)
  • 干支で覚えられない場合は「4の倍数歳が離れている人」と覚えると良い。

「3つの十字」

また、「3つの十字」は 「Tứ Hành Xung=四行衝」 と呼ばれていて、対極にある干支との相性が一番悪く、十字が交差した線の対極となる相手ともあまり合わないとされています。干支ごとにまとめると、次のようになります。

相性があまりよくない干支グループ(横に並んだ4つ)
最も相性が悪い干支同士 最も相性が悪い干支同士
Tý(子=鼠)⇔ Ngọ(午=馬) Mão(卯=兎 / 猫)⇔ Dậu(酉=鶏)
Sửu(丑=牛 / 水牛)⇔ Mùi(未=羊 / 山羊) Thìn(辰=竜)⇔ Tuất(戌=犬)
Dần(寅=虎)⇔ Thân(申=猿) Tỵ(巳=蛇)⇔ Hợi(亥=猪 / 豚)
  • 干支で覚えられない場合は「3の倍数歳が離れている人」と覚えておくと良い。

寅年生まれの女性は結婚に不利!?

日本では「丙午(ひのえうま)」の女性は気性が激しく夫の運勢を悪くするという俗信から丙午の女性を結婚相手として避ける傾向があり、1966年の丙午には出生率が大きく下がりました。同じようなことがベトナムにもあり、寅年生まれは気が強く、寅年の女性と結婚しないほうが良いといわれています。実際、寅年の女性が恋人の両親の激しい反対に合い、結婚できなかったという話をよく聞きます。最近の若い人は干支を気にしない人が多いですが、親には逆らえないという人も多いということを、寅年の女性は念頭に置いたほうがいいでしょう。

干支占いは人間関係をスムーズにする潤滑油

干支に基づく相性占いには、もちろん科学的根拠はありませんので、信じないのも当然のこと。でも、これを知っておけば、知り合ったベトナム人に年齢や干支を聞いて、「ベトナムでは君と僕は相性いいんでしょ?」と切り出して仲良くなるきっかけにできるかもしれません。

また、ベトナム人の中でも特に年配者はこの干支による相性を信じている人が多いため、ベトナム人マネージャーの下にアシスタントなどを採用する際、能力など大きな差がなくて誰を採用するか迷った時は、マネージャーと相性の良い干支で選ぶというのも一つの方法。何をするにも「この人とは相性が悪い」と思うより、「相性がいい」と思ってしたほうが成果が上がることは言うまでもありません。

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