シュンギク / Cải cúc,Tần ô
~ベトナム野菜図鑑(葉菜類5)~

2015年12月21日公開

[日] シュンギク(春菊)
[越] cải cúc(カイクック)、tần ô(タンオー)、rau cúc(ザウ/ラウ クック)、cúc tần ô(クックタンオー)、rau tần ô(ザウ/ラウ タンオー)、đồng cao(ドンカオ)、xuân cúc(スアンクック=春菊)、cải nhúng(カイニュン)
[英] Crown daisy
[学] Glebionis coronaria(キク科)
[原産] 地中海沿岸

ベトナムでも鍋の具材に

日本のお鍋には欠かせない具材のシュンギク。実はベトナムでも、鍋によく入れる野菜の一つ。ベトナムでは基本的に汁物にする野菜で、スープの具にもよく使われます。

シュンギクの原産地は地中海沿岸なのですが、葉を食用とするのは東アジア、東南アジアだけなのだそう。ヨーロッパではもっぱら花を鑑賞するそうです。

ベトナムへは、シルクロードを通って中国に入ったものが伝わりました。ベトナム語では地域によって様々な呼び名があるのですが、cải cúc(カイクック)、tần ô(タンオー)が一般的です。cúcは漢字に直すと「菊」になります。日本ではお鍋の時期に美味しい野菜ですが、ベトナムでは年間を通じて食べられている野菜です。

ベトナムのシュンギクはとにかく丈が長い! 根元の太い部分は繊維が多いので切り落として使わないことが多いです。硬さを見て切り落としてください。鍋に入れる時は太い茎から茹でるようにします。

シュンギクの独特の香りが体にいい

シュンギクは独特の香りがあるので、苦手な人もいるかと思いますが、この香が体にいいのだそうです。香りの中に含まれる「リモネン」などの成分が自律神経に作用して、 胃腸を活性化させたり、セキや痰を抑えたりするほか、リラックス効果もある のだとか。ベトナムでは家庭で簡単に使える薬草としても知られており、茹で汁を飲むとセキが治まると言われています。 風邪の予防、風邪の症状の緩和にも効果 があるそうです。

そのほか、カロテン(カロチン)、ビタミンB2、ビタミンC、カルシウム、カリウム、鉄分、アミノ酸などが含まれています。カロテンは免疫力を高めたり、ガンの発生を抑制する効果があるほか、体内でビタミンAに変換されるため、髪の毛、視力、皮膚などによい効果があるそうです。ベトナムではシュンギクとcá diếc(カージエック)というフナの一種のスープを飲むと、目の痛みを和らげるといわれています。

また、カリウムはナトリウム(塩分)を排泄する働きがあり、高血圧に効果があります。カルシウム、マグネシウム、リン、鉄分などのミネラルはどれも骨を生成する上で欠かせません。シュンギクの繊維質は柔らかいので、軽く湯がいて食べると、胃腸が整いますし、便秘にも効果があります。葉酸や鉄も豊富なので、貧血の人や妊婦にも適しています。

選び方と保管方法

選ぶ時は、色が濃く、葉の先までピンと伸びているものを選びます。茎があまり太いと繊維質が堅く、細いほうがおいしいでしょう。また、切り口がなるべくみずみずしいものを選びます。

シュンギクは乾燥に弱いのでなるべく早く食べるのに越したことはありませんが、冷蔵庫に入れる時は必ずビニールにくるんで。濡れた新聞紙に包んでからビニール袋に入れると、鮮度が保たれます。

【ポイント】シュンギクの香りは体にいい。ベトナム料理ではスープによく使われます。冷蔵庫で保管する場合は、濡れ新聞紙に包んでからビニール袋へ。