ハヤトウリ / Su su
~ベトナム野菜図鑑(果菜類2)~

2015年11月13日公開

[日] ハヤトウリ(隼人瓜)、センナリウリ(千成瓜)、チャヨテ(スペイン語)
[越] Su su(スースー)、Su le(スーレー)
[英] Chayote、Christophene、mirliton、Vegetable pear
[学] Sechium edule(ウリ科)
[原産] 熱帯アメリカ
[サイズ] 縦12~17cm (洋ナシサイズ)

中米原産の野菜、フランス人の手でベトナムへ

日本では一般的に ハヤトウリ(隼人瓜) と呼ばれていますが、 ウィキペディア によると、日本に入ったのは1917年のことで、鹿児島にわたってきたので「薩摩隼人」をとってこう呼ばれるようになったそうです。

ベトナムにハヤトウリが入ってきたもの同じく20世紀初めごろ。フランス人の手でもたらされたと言われています。ベトナム語で Su su(スースー) と呼ばれていますが、中米ではハヤトウリをChochoやChuchuとも呼ぶ地域があり、世界のフランス植民地ではChouchouやchouchouteと呼ばれていたそうなので、それが訛ってSu Suになったと思われます。ベトナムより一足早く18世紀にフランス植民地となったモーリシャスでもSousouと呼んでいるそうです。

日本では「ハヤトウリ」と言われてもぴんとこない人が多いと思いますが、ベトナムでは全国的にポピュラーな野菜です。日本では外皮が緑色のもだけでなく、苦味の少ない白いものがあるそうですが、ベトナムでは緑のものしか見たことがありません。


日本のハヤトウリは表皮がトゲトゲしている

収穫期は主に4~11月

ベトナムの中でも涼しい高地のほうが栽培に適しているそうで、西北部地方の ラオカイ省 のサパが産地として有名です。収穫期は4~11月ですが、南部では年中出回っています。

骨粗しょう症や動脈硬化の防止に

ハヤトウリはウリの中では栄養価が高い野菜です。ビタミンC、カリウム、カルシウム、リン、多種のビタミン、鉄などを含んでいます。

骨代謝に必要なビタミンKを豊富に含んでいるため、更年期の女性などの 骨粗しょう症予防に効果 があると言われています。繊維が豊富なので、 便秘予防 にも役立ちます。

また、亜鉛が含まれていて、皮脂の生成を抑える働きがあり、 ニキビ予防 に役立つほか、傷の治癒を早める作用もあるそう。妊娠初期に積極的に採るべきとされる葉酸やビタミンBも含まれており、これらは動脈硬化を引き起こす物質ホモシステインの代謝にもかかわっているため、動脈硬化が原因となる 心筋梗塞や脳梗塞の予防 にも役立つそうですよ。

ベトナムではスープや炒め物に

ベトナムでは、副菜として広く使われる食材です。一般的には、賽の目に切って、スペアリブや他の野菜と一緒に煮込んでスープにしたり、千切りにして炒め物にしたりします。短時間で火が通るので、調理は簡単です。日本では炒め物や煮物だけでなく、薄く切ってサラダやお漬物にもするようですが、ベトナムで出回っている外皮が緑のものは生の状態だとかなり青臭いので、生食には向きません。

切り方

まず、皮を洗ったあと、皮むきでざっと全体を剥きます。ハヤトウリには皺のような溝があるため、溝にそってVの字に包丁を入れて皮を綺麗に取り除きます。皮を剥くと独特のヌメリが出るので、手を滑らせないよう気をつけましょう。


© VIETJO Life 皮を剥いたハヤトウリ

半分にすると、中央に種があります。大きい場合は取り除いたほうがいいですが、小さい柔らかい種はそのまま実と一緒に食べて大丈夫です。


© VIETJO Life 半分に切った状態。中央の白い種はこの程度小さいものは食べられる

千切りにして、お肉やエビ、卵などと炒めたものも一般的。油を使ってもあっさりしていて、しっかりとした歯ごたえで、とてもおいしいです。


© VIETJO Life (左)ハヤトウリの千切り、(右)ハヤトウリと小エビの炒め物

選び方と保管方法

表面に傷や変色、シミやシワがないものを選びます。手に持ってずっしり重みを感じるものは新鮮です。外皮に弾力があるもの、軽いものは鮮度が落ちています。保管する時は新聞紙やビニールに入れて野菜室へ。早く食べたほうが新鮮でおいしいすが、数週間は日持ちします。頻繁に買い物できない忙しい主婦の常備野菜としてとても便利です。

【ポイント】ウリの中でも栄養価が高く、骨粗しょう症や動脈硬化の予防に効果。簡単に火が通る上、冷蔵庫で数週間保管できるため、常備野菜としてとても重宝。

 
<ハヤトウリを使ったレシピ>

ハヤトウリと小エビの炒め物