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ベトナムで目的地を探す時、頼りになるのは紙に書かれた住所。でも、日本の住所と違って、一番最初に数字があるし、ベトナム語で書かれていれば意味がわからず、見当がつかなくて困ることもあるかもしれません。そこで、ベトナム語で書かれた住所の読み解き方を、豆知識を交えながら紹介したいと思います。既に住所の見方をご存知の方は、豆知識のところだけ読むと新たな発見があるかもしれませんよ。
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日本の住所は、「東京都千代田区千代田○丁目□番△号」というように、大まかな場所→詳細な場所の順に書いていきますが、ベトナムの住所はその反対。まず、詳細の「家の番地」から始まり、その番地がある「通り」、その通りがある「街区」、その街区がある「区・郡」、そして最後に「市・省」と、詳細の場所→おおまかな場所の順となります。例えば、以下のようになっています。
(例)151 Võ Thị Sáu, Phường 6, Quận 3, Thành phố Hồ Chí Minh
→英語表記:151 Vo Thi Sau Street, Ward 6, District 3, Ho Chi Minh City
これをベトナム語の順番通りに訳すと、「151番地ヴォティサウ通り、第6街区、3区、ホーチミン市」です。つまり住所は、以下の順で構成されています。
番地 | 通りの名前 | 街区(地区) | 区・郡 | 市・省 |
---|
更に、ビルやマンションの名前がある場合は、番地の前の部分に、部屋番号、階、棟、建物の名前の順に記載していきます。
(例)phòng số 1, lầu 2, tòa nhà Loyal, 151 Võ Thị Sáu, Phường 6, Quận 3, Thành phố Hồ Chí Minh
→英語表記:Room No.1, 2nd floor, Loyal building, 151 Vo Thi Sau Street, Ward 6, District 3, Ho Chi Minh City
ベトナムのそれぞれの通りの各家には、道の端から順番に番号がふられており、道の入り口(1番地のあるところ)から見て右側が偶数、左側が奇数になっています。道のどちらから番号をふるかは法律で規定されています。これについては後編で説明します。
「151/5」のように番地に「/(スラッシュ)」がついているものは、「151番地のところにある路地の中の5番」ということを示しています。路地の入り口から近いほうから順番に、右手に偶数、左手に奇数番号が並んでいます。路地が中で更に分かれている場合は、「151/5/3/40」のように表記されます。これは、「151番地のところにある路地を入った5番の家のところにある路地を入り、3番の家のところにある路地の40番の家」という意味です。
なお、名前のついている通りにある路地のことを南部では「hẻm(ヘム)」、北部では「ngõ(ゴー)」、中部の一部地域では「kiệt(キエット)」と言います。ハノイ市では「151/5」のかわりに「5 ngõ 151」と書くことも多いようです。スラッシュを使う場合と数字の順番が逆になるので、注意が必要です。
上の例で書いた「Võ Thị Sáu」は通りの名前ですが、この文字の前に「道」を意味する「đường(ドゥオン)」(北部では「phố(フォー)」)をつけ、「151 đường Võ Thị Sáu」と書く場合もあります。通りの名前は、ベトナム史上重要な役割を果たした人名や事件名などが付けられています。新しく造られた道路で、まだ名前が決まっていない場合は、仮に数字がふられます。もし「2」という数字がふられたのであれば、「Đường Số 2」となります。Số(ソー)は「ナンバー」という意味。この場合、ナンバーだけ書いてあっても何のことだかわかりにくいので、Đườngを省略せずに書きます。
また、長い名前の通りは、アルファベットの頭文字をとって略して書かれることもあります。特によく省略されるのが、Cách mạng tháng Tám(カクマンタンタム、8月革命)通りで、「CMT8」と表記します。
日本の「○○町」にあたるのがベトナム語の「Phường(フオン、フーン)」。日本語で「街区」とか「地区」と訳されています。「Phường 1(フオン・モット)」のように数字がつけられている場合もありますし、「Phường Bến Nghé(フオン・ベンゲー)」のように名前がついていることもあります。Phườngを「P.」、「F.」と略し、「P. 1」「F. Bến Nghé」とかかれることもよくあります。
日本の「第1街区」のような書き方と違い、「Phường 1」と必ずPhườngの後ろに数字や名前がきます。これは、日本語だと「美しい+人」と前に修飾語がくるところを、ベトナム語は反対に「人+美しい」の順で後ろから前の言葉を修飾するのが原則であるためです。
長い通りの場合、複数の街区にまたがっている場合がありますが、その番地が通りのどのあたりにあるかは、住所の街区がわかればある程度見当をつけることができます。そのため、タクシーなどで住所を伝える際、番地と通り名でも探せないこともないですが、街区もあったほうがより確実になります。
ハノイ市やホーチミン市などの中央直轄市(政府が直接管轄する都市で「省」と同格)の場合、人口の多い地域の行政区は「Quận(クアン、区)」、郊外の行政区は「Huyện(フイエン、郡)」となっています。一般の省における同レベルの行政区には、「Thành phố(タインフォー、市)」「Thị xã(ティサー、町)」「Huyện(フイエン、郡)」があります。
記載する時は、「Quận 1」を「Q. 1」、「Quận Phú Nhuận(フーニュアン区)」を「Q. PN」と略したりします。Huyệnも同様に、「H. Nhà Bè(ニャーベー郡)」「H. NB」などと略すことがあります。
一番最後にくるのが日本の都道府県にあたる「Thành phố(タインフォー、市)」、「Tỉnh(ティン、省)」です。一般の省の下にも「Thành phố」という行政区分がありますが、中央直轄市も同じく「Thành phố」と呼んでいます。「Thành phố」は「TP.」「Tp.」と略すことが多いです。
説明が長くなってしまいましたので、最後に街区や区の表記の仕方を表にまとめました。参考にしてください。
日本語 | 英語 (略式表記) | ベトナム語 (略式表記) |
---|---|---|
通り | Street (St.)、Boulevard (blvd) | Đường、Phố |
街区 | Ward | Phường (P. 、F.) |
区 | District (Dist.) | Quận (Q.) |
郡 | District (Dist.) | Huyện (H.) |
市 | City | Thành phố(TP.) |
省 | Province(Prov.) | Tỉnh (T.) |
また、住所によく用いられる単語として、以下のようなものがあります。
日本語 | 英語 (略式表記) | ベトナム語 (略式表記) |
---|---|---|
番号 | Number (No.) | Số |
部屋 | Room (R.) | Phòng |
階 | Floor (Fl.) | Lầu、Tầng |
区分 | Block | Lô |
ビル | Building (bldg.) | Tòa nhà (TN) |
アパート・マンション | Apartment (Apt.) | Chung cư (C/C、CC) |
路地 | Alley | Hẻm、Ngõ、Kiệt |
住所 | Adress (addr) | Địa chỉ (ĐC) |
後編 では、番地の並び順について、その法則をご紹介したいと思います。