データでわかるベトナム

【第1回】ベトナムの教育市場とビジネスチャンス

2015年01月19日公開

ベトナムは教育熱心な国として知られています。消費支出の6%程度が教育産業によって成立つ等、他の東南アジア諸国と比較しても割合が高く、また若者の数が多いため、所得の高まりとあわせて市場は大きく成長する事が予想されます。日系企業では公文なども早くから進出し現在は20弱の教室を展開する等事業を伸ばしています。

教育産業における市場

ベトナムでの教育産業においては大きく二つ市場があると考えてよいと思います。
一つは潜在的な海外留学市場。
ベトナム人の海外流学者数は10万人と多く、ほとんどが私費留学になります。当然裕福なクラスA(可処分所得$750程度以上、都市部の10-15%程度の家庭)がターゲットとなります。一番大きな市場が英語学習、続いて数学となります。月々の学習コストもUSD$100を超える教室が多く有り、教育熱心な親が積極的に投資をします。
もう一つの市場が中間層向けの市場。
これは主に補習校など学校授業の延長であったり、先生が個人的にフォローをするような形態です。母数は多いのですが、一人当たりの費用は前述のクラスAと比較するとかなり低くなります。
都市部で言うと小学生〜高校生の半数弱が何かしらの学校外での学習に従事していると言われています。

ベトナムでのE-Learning市場は?

一方でこれだけスマホ・ソーシャルメディアの成長が著しいベトナムですのでE-learningなどの需要も大きいかと考えがちですが、まだ市場はほとんど無いに等しい状態です。僕の知人も数年前にE-learningでの所謂スカイプ英会話を始めたのですが全く上手くいかなかったようです。
理由はインフラ的な問題ではなく、特に親の「実際に先生と対面しながらの塾の方が子供はしっかり勉強する」という強い先入観が障壁になっています。実際に話を聞いてみても「オンラインだとサボってしまうのではないか」「子供の緊張感を保つのが難しそうだ」といった意見が良く聞かれます。またE-learningを行う為のベトナム語でのコンテンツ不足も課題の一つです。
一方で、先日「78%のベトナム人の子供がデジタル機器を使っている」という記事が掲載されました。調査対象が偏っている面は否めませんが、ベトナムでの子供へのデジタル機器の浸透は日本の人々が考えているよりも早く、ここに大きなビジネスチャンスを感じます。中学生以上となるとかなり押し込み型の教育が現状なのですが、幼稚園・小学生等を対象に「楽しみながら学べる」ゲーミフィケーションの要素を持った教育コンテンツがベトナムでは現在不足しており、またインフラ事情を鑑みても大きな潜在需要があるように感じます。

株式会社Asia Plus代表取締役社長 黒川賢吾

株式会社Asia Plus ( www.asia-plus.net )代表取締役社長。

NTT、ソニー、ユニクロにて海外マーケティングを担当。

2014年にAsia Plusを設立しベトナムマーケットリサーチサービス「Q&Me( www.qandme.net )」を展開中

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