第5回 【ベトナム人と一緒に楽しみたい】テトのユニークな風習とは?

2020年01月15日公開   2020年01月15日更新

みなさん、こんにちは!ホーチミン在住のベトナム人 ICONIC のHanです。コラム 「【日本人が知らない】ディープなベトナム案内」 では、ベトナムでの旅行やグルメ・文化・ショッピング・その他おもしろ情報を発信していきます。

間もなくベトナムはテト(旧正月)を迎えます。みなさんは一時帰国されるか、もしくはベトナム国内で過ごされるのでしょうか?今回はテトをもっと深く理解できるよう、ベトナムのユニークなテトの伝統的風習についてご紹介します。

まず、幸運な1年を過ごすには、テトを迎える前の準備がとても大切です。ベトナムでは 「赤」が王道の色 とされ、人々の幸運と金運、そして繁栄を象徴すると言われています。悪魔を追い払う色とも言われ、テトの準備に赤色の物を使用するのはこのためです。

中国の思想に由来した、伝統的な飾り

テトに欠かせないのが、 バインテット、バインチュン と呼ばれるベトナム風ちまきです。ベトナムの伝統料理であると同時にテトの精進料理とされています。

また、写真のようにマムグークア(Mâm ngũ quả)と呼ばれる果実を祭壇に飾ります。「豊作・富・長寿・健康・平和」を象徴する5色の果物を使用するのが習わしです。古代中国の思想 陰陽五行説にも、五行(金・木・水・火・土)の概念があり、それぞれに白・緑・黒・赤・黄色の各色があてられます。これらの色を含む果物として、スイカや、 バンレイシ 、グレープフルーツ、マンゴー、イチジク、パイナップルなどを用意します。 南部と北部では使う果物の種類が異なり 、バナナはベトナム語で「チュオイ」と読み、同音異義語で「倒れる」という意味があるため、南部の人は使用しません。


マムグークア
引用: Dân trí

家中を赤く彩る様々な工夫

テトの季節になると、たくさんの花を飾って街中を華やかにします。テトを象徴する花といえば梅と桃の花ですが、 赤い花も人気 で、幸せを意味するバラやガーベラなどを家の中に飾ります。ベトナム人の家を訪ねると、家中が赤くてびっくりされるかもしれません。


赤色の花の木
引用: HOA ĐẸP VIỆT NAM

また、ココナッツや蓮根、金柑などを砂糖漬けにし、色鮮やかに彩ります。写真の中で特に目を引くのは、 真っ赤なスイカの種の塩漬け です。


砂糖漬け菓子と赤いスイカの種の塩漬け
引用: Chùa A Di Đà

中国では、春節などに伝統的な装飾「対聯(ついれん)」を飾りますが、ベトナムでもかつては儒家に 「赤い対聯」 を飾っていたという話があります。赤色や桃色の紙に、黄色や黒で文字を書いたものを赤い対聯と呼びます。一部の家庭ではこの風習が今でも残っており、大きい対聯は壁に、小さいものは桃や梅の木に掛けます。

最近では、 ホーチミン市青年文化館 の前に”Phố Ông Đồ“という書道ストリートなるものが出現し、書の購入や写真撮影、書道体験などをすることができます。


赤い対聯
引用: NHIP SONG

おばけを追い払う、赤いお年玉伝説と竹飾り

次は、子どもも大人ももらうと嬉しい 「お年玉」 にまつわる面白い伝説を紹介します。実はベトナムのお年玉袋は赤色が多いのですが、みなさんはその理由をご存知でしょうか?

昔、大晦日の夜中になると現れるイタズラ好きのおばけがいました。そのおばけは子どもたちの頭を触るのが大好きで、寝ている子の頭を触って目を覚まさせ、泣かせていたのです。ある50代の夫婦も、生まれたばかりの息子と共に大晦日を迎えようとしていました。その時、8人の仙人が夫婦の家を訪れ、息子が今晩災難にあうと告げました。すると仙人たちは8枚のコインに化け、夫婦はそれを赤い紙に包み、息子の枕元に置きました。真夜中になっておばけが出てくると、枕元が突然光り輝いて、おばけは一目散に逃げていったそうです。

この話が言い伝えられ、テトにはお年玉を赤い袋に包む風習が定着しました。今では「幸せなお金」と呼ばれ、災難を避けたり、子どもたちには「安全・健康・勤勉」を、お年寄りには「健康・長寿」をもたらすお守りとされています。


赤いお年玉袋
引用: IN AN LVC

そしてこれらの準備が終わったら、新しい服に着替えて新年を迎えましょう。もちろん赤い服が良いですね。 赤いアオザイを着て梅の木の側に立てば、立派なベトナム人になれます よ。

また、地方によっては カイネウ(Cây nêu) という、日本のしめ縄飾りのようなものを用意するところもあります。高さ5~6メートルの竹の先端にお供え物やお守り、サボテン、お酒、紙でできた鯉、赤いのぼり、小さい陶器の磬(読経の際に打ち鳴らす中国の仏具)など様々な飾りを付けます。磬の音が鳴り響き、おばけに「ここには人がいますよ」「いたずらをしてはいけませんよ」と知らせているのです。夜になると提灯を掛けて、祖先たちが迷わずに帰る道を示します。


カイネウ
引用: Thanh Hóa

獅子舞にテト料理に…、目一杯楽しむ三が日

さあ、これでテトの準備が整いました。一緒に新年を迎えましょう!この時期は楽しいイベントがたくさんあります。テトの三が日は親戚や友達の家を訪れたり、お寺へお参りに行ったり、旅行をしたりします。1年の幸運を願い、自分の年齢に合わせて良い時や方位を選んで出かける人もいます。

テト期間中は、道端でよく 獅子舞や龍舞団 に会うことができます。ベトナムの獅子舞や龍舞は、長きにわたる発展や富を願うためのものです。突然現れては見事な踊りを披露し、人々を楽しませてくれます。4~5人の獅子舞団が小さいヘム(路地)を通って、ドアを開けている家の前で、お年玉をもらうために舞を披露します。その影響で渋滞になっても、もちろん誰も文句は言いません。


獅子舞
引用: mua lan

また、 テト期間中に食べる料理は地方によって異なります 。北部は伝統的かつ優しい味付けの料理で、肉のゼリー寄せや玉ねぎの漬物、豚足の煮物、乾き物など、肉と野菜を使ったものが中心です。中部は工夫や趣向を凝らした料理が好きで、バインテットや豚肉のヌックマム漬け、らっきょう・大根・人参・パパイヤの漬物などを用意します。南部はかしこまった形式を好まず、各々が自由に楽しめるよう、バインテットやゴーヤの肉詰め、らっきょうの漬物などを合わせたテト料理セットを用意します。ゴーヤの肉詰めは、苦難が早く過ぎて楽しいことが訪れるように…という意味が込められています。

以上のように、食べ物から催しまでベトナムには様々なテトの風習がありますが、これらは全て、家族に幸せが訪れ、何事も順調に進み、仕事が成功するように祈るために行われるものです。みなさんもテト期間中にベトナムに滞在したら、ぜひベトナム人と同じように過ごしてみてはいかがですか。

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