【第9回】SDGs達成に向けたベトナムの取り組み、あなたにできること

2019年06月17日公開

こんにちは、青年海外協力隊の山田邦永(やまだくにはる)です。2017年10月より、ベトナムの非政府組織(NGO) VIRI でハノイを拠点に 活動 しています。

「宇宙船地球号」 ― 資源に限りのある我々の住んでいる地球において、国際目標SDGsの達成に向けて全世界が一体となって取り組んでいます。 SGDsは、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)を表します。

SGDsに関連して、本コラムで全3回に分けて紹介いたします。 1回目 ではSDGsとフェアトレードについて、 2回目 ではベトナムにおけるSDGs達成に向けた枠組みを紹介しました。今回3回目では、ベトナムにおけるSDGs達成に向けた具体的な事例とともに、皆さま1人1人にできることを紹介します。SDGsは17のゴールで構成されていますが、その中でも特に、日々の生活に直結している SDG 12 「つくる責任つかう責任」 に焦点を絞って紹介します。

SDG 12達成に向けた、世界における現状とネットワーク

SDGs全17ゴールにおけるSDG 12の位置づけ

SDG 12 「つくる責任つかう責任」は、2016年、国連からの支出が9000万USD(約99億円)、関与する国連職員数が411人で、SDGs全17ゴールのうち、国連から投入された資源の最も少ないゴールでした。

出所: System-Wide Outline of Functions and Capacities of the UN Development System を元に山田邦永作成

SDG 12の取り組む領域は SCP(Sustainable Consumption and Production : 持続可能な消費と生産) と呼ばれており、これから新しい規範や基準の生まれてくる領域であると言われています。SCPの実現に向けて取り組むことは、SDG 12の達成に繋がるだけでなく、他のほぼ全てのSDGsの達成に、直接的または間接的に大きく貢献することになります。

SDG 12を達成するためのOne Planet Network

SDG 12に含まれるターゲットの1つとして、10YFP(the 10-Year Framework of Programmes on Sustainable Consumption and Production:持続可能な消費と生産に係る10年計画の枠組み)を実行することが掲げられています。

10YFPは、2012年にリオデジャネイロ(ブラジル)で開催された 「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」 で採択された、国際協力を促進しSCPへのシフトを世界中で加速させることを目指すための枠組みで、テーマごとに設定された6種類の「プログラム」で構成されています。そして、10YFPの実行のために設立されたのが One Planet Network です。


出所:One Planet Networkのウェブサイトを元に山田邦永作成

SDG 12達成に向けた、ベトナムにおける具体的なプロジェクト

10YFPを構成する6種類プログラムのうち、3種類のプログラムについて、ベトナムの具体的なプロジェクトを紹介します。ベトナムでは、このようなプロジェクトをとおしてSDG 12の達成を目指しています。

「持続可能な公共調達」プロジェクト

Asia Pacific Green Public Procurement Partnership Project は、韓国環境産業技術院による資金援助と国連環境計画の実行支援の下で実施されたプロジェクトです。ベトナムを含むアジアパシフィック諸国の各国政府へ、政策協議と技術支援をとおした環境に優しい公共調達に係るキャパシティビルディングを目的としています。ベトナムでは3つのグリーンラベルの基準ができ、環境に優しい公共調達の法体系の提案がなされました。

「消費者情報」プロジェクト

A new approach of reducing greenhouse gas (GHG) emission through changing lifestyle toward water and electricity saving in urban households in Danang, Vietnam は、ダナン大学工科大学の環境保護研究センターにより実施されたプロジェクトです。低炭素化社会の実現へ向けた効果的な戦略として節水・節電を促進することを目的としています。ベトナム語・英語の 「節水・節電ガイド」 が作成され、具体的な方法が情報提供されました。

「持続可能なライフスタイル・教育」プロジェクト

Upscale and Mainstream Green Office Lifestyles in Vietnam は、Asian Institute of Technology Center in Vietnamにより実施されたプロジェクトです。職場における低炭素社会を実現する行動を、拡大し、主流なものとすることを目的としています。サービスプロバイダー、製造業者、公共団体に対して、電気・水・紙の使用状況やゴミ処理状況等の現状を評価し、それぞれの職場に合った方法で職場を「グリーン化」する支援をしました。

SDG 12の達成に向けて、あなたにできること

本コラム 【第7回】 SDGsの達成へつながるフェアトレード で紹介したように、SDGsとフェアトレードには深い関係があり、SDG 12に関して、フェアトレードは、消費者が持続可能な選択をすることを助けます。VIRIは、 「フェアトレード10原則」 に従って商品を開発しています。このような商品を、皆さま1人1人が消費者として選択することで、生産者は、よりフェアな価格の支払いを受け、持続可能な生産の仕組みを実現できるようになります。VIRIの開発した商品は、VIRICOブランドで展開されています。VIRICO製品にご興味を持たれた方は、SDG 12の達成に向けてあなたにもできる選択として、ぜひお買い求めください。VIRICO製品は以下の店舗、カフェ、レストラン等で取り扱いがあります。(2019年6月時点の情報です。店舗の都合や現地事情により、内容が変更される可能性があります。最新情報は各店舗へ直接お問合せください。)

ハノイ市のお土産屋 「ハノイ商店」

ベトナム事情と日本人の好みを知り尽くすオーナーの目にかなった選りすぐりの品々が、バーディン地区の「ハノイ商店」では販売されています。VIRICO製品の中でも特に、可愛らしいパッケージで様々な香りのあるバスソルト( ゲアン省 のオレンジエッセンシャルオイル使用)やドリップバッグ式のベトナムコーヒー( ダクラク省 )は、普段使いのみならず、一時帰国時のお土産にも最適です。
【問い合わせ先】 ハノイ商店

ハノイ市のカフェ 「The Eastern & Oriental」

喧噪から離れたタイホー地区にオープンした「The Eastern & Oriental」では、湖を臨むテラス席でゆったりと流れる贅沢な時間を過ごすことができます。ハノイの暑い夏には、VIRICO製品を使った、コールドドリップコーヒー(ダクラク省のコーヒー使用:毎日なくなり次第終了)やストロベリー・ハニー・ハイビスカスアイスティー( バクザン省 のはちみつ使用)を、ぜひお楽しみください。
【問い合わせ先】 The Eastern & Oriental

ホーチミン市のレストラン 「indigo」

2019年5月末の開店以来、3区で大人気を誇る「indigo」では、インディゴカラーに包まれた明るい店内で、美と健康を追求し、ストーリーを大切にした、バランスの取れたお食事を楽しむことができます。VIRICOのカカオパウダー(ダクラク省)を贅沢に使った、豆腐ティラミス、ブラウニーは、カカオの洗練された深い香りに、大変な好評を得ています。
【問い合わせ先】 indigo

最後に

全3回に渡って、全世界が一体となって取り組んでいる国際目標SDGsに関して紹介してきました。本コラムの記事が、世界及びベトナムでのSDGs達成に向けた取り組みについて、少しでも理解を深める助けになっていたら何よりです。さあ皆さん!「宇宙船地球号」の「乗組員」として、お互い手を取り合い、助け合いながら、素敵な旅に出ましょう。

青年海外協力隊 山田邦永

ベトナムのNGO、VIRI で、ハノイを拠点に活動中の青年海外協力隊隊員が、彩り豊かな「ベトナム・フェアトレードの旅」へと皆さまを案内します。VIRIは世界フェアトレード機関(WFTO : World Fair Trade Organization)から国際フェアトレード組織として認められたベトナム唯一の団体です。

著者略歴:1983年生まれ。愛知県出身。東京大学卒業、東京大学大学院修士課程修了(分子生物学)、ビジネス・ブレークスルー大学大学院修士課程修了(MBA)。元ファイザー勤務、元ジョンソン・エンド・ジョンソン勤務(R&D)。現在、青年海外協力隊(任期:2017年10月~2019年9月、活動概要:VIETJOベトナムニュース記事参照)。2019年10月に日本へ帰国。

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