【第12回】東南アジア最古の陶器村、ニントゥアン省バウチュック村の陶芸の魅力

2019年08月26日公開

こんにちは、青年海外協力隊の山田邦永(やまだくにはる)です。2017年10月より、ベトナムの非政府組織(NGO) VIRI でハノイを拠点に 活動 しています。

ニャチャンの玄関口である カムラン国際空港 から南へ70km、中南部沿岸地方 ニントゥアン省 にあるバウチュック村で、現在VIRIは、コミュニティ・ベースド・ツーリズムを展開するプロジェクトを進めています。本プロジェクトに関して、本コラムで全2回に分けて紹介します。今回の1回目では、バウチュック村の陶芸の魅力を紹介します。

バウチュック村の陶器の特徴

12世紀頃から変わらぬ伝統的な方法で陶器を生産しているバウチュック村は、東南アジア最古の陶器村と言われています。原料の粘土はクアオ川(Quao River)周辺に分布し、村の中心部から牛車で片道40分かけて取りに行きます。アスファルトで舗装された道は、やがて未舗装の道になり、そして最後には開けた農地の道無き道を行く、大仕事です。

こうして手に入れた粘土と金の欠片を含む白い砂とを特別な配合で混ぜ合わせ、丁寧に練った土の塊は、陶芸家の腰程の高さの台に置かれます。ろくろを使うのではなく、陶芸家自身が台の周りをぐるぐると回りながら、土の塊を見事なまでの技術で瞬く間に様々な製品へと成型していきます。この成型方法がバウチュック村の陶器の荒々しく力強い独特のテクスチャーを生み出しています。

そして乾燥させた製品は、釜ではなく地面に積み上げられた藁や木片で焼かれます。表面の色付けをする場合には、現地で採れる植物の抽出液で行われます。こうして完成したバウチュック村の陶器は多孔質であることから気化冷却が生じ、水や食品をより長期間保存できるようになります。


出所: PetroTimes

バウチュック村の陶芸の始祖

バウチュック村に陶芸の技術を指導したのは、ポクロン・チャイン(Mr. Poklong Chanh)と、その奥さんのナイ・ランク(Ms. Nai Lank)です。それ以来、多種多様な陶器製品がバウチュック村の住人の生活を支えています。バウチュック村にあるポクロン・チャイン廟には、バウチュック村の陶器の始祖であるポクロン・チャインとナイ・ランクが、両者を象った陶器とともに祀られています。毎年1度、両者への感謝の気持ちを示す儀式が執り行われています。

バウチュック村の陶芸、UNESCO無形文化遺産登録の準備中

2019年3月、ベトナムのグエン・スアン・フック首相は、この非常にユニークなバウチュック村の陶芸について、 UNESCO無形文化遺産への登録申請を許可しました 。現在、登録に向けて、担当省庁により準備が進められています。

次回のお知らせ

バウチュック村で展開するコミュニティ・ベースド・ツーリズムプロジェクトに関する全2回の記事のうち、次回の2回目では、バウチュック村の文化及び周辺の観光資源を紹介します。どうぞ楽しみにお待ちください!

青年海外協力隊 山田邦永

ベトナムのNGO、VIRI で、ハノイを拠点に活動中の青年海外協力隊隊員が、彩り豊かな「ベトナム・フェアトレードの旅」へと皆さまを案内します。VIRIは世界フェアトレード機関(WFTO : World Fair Trade Organization)から国際フェアトレード組織として認められたベトナム唯一の団体です。

著者略歴:1983年生まれ。愛知県出身。東京大学卒業、東京大学大学院修士課程修了(分子生物学)、ビジネス・ブレークスルー大学大学院修士課程修了(MBA)。元ファイザー勤務、元ジョンソン・エンド・ジョンソン勤務(R&D)。現在、青年海外協力隊(任期:2017年10月~2019年9月、活動概要:VIETJOベトナムニュース記事参照)。2019年10月に日本へ帰国。

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