マンゴスチン / Măng cụt

2015年09月03日公開

[日] マンゴスチン(マレー語から)
[越] Măng cụt(マンクッ)
[英] Purple mangosteen, mangosteen
[学] Garcinia mangostana (フクギ科)
[原産] マレー半島
[サイズ] 直径4~8センチ

「果物の女王」

ドリアンが「果物の王様」と呼ばれるのに対し、マンゴスチンは程よい甘さと酸味、ジューシーな味わいと上品な香りで 「果物の女王」 と呼ばれていますが、これは19世紀に東南アジアを支配していた大英帝国のビクトリア女王に「わが領土にあるマンゴスチンをいつも味わえないのは残念だ」と言わしめた、というエピソードに由来しているそうです。

マンゴスチンの原産地はマレー半島で、ベトナムへはキリスト教の宣教師たちがもたらしたといわれています。マンゴスチンの木は気温が25℃以下になると育たないことから、年中気温が25℃を下回ることが殆どないメコンデルタ地方、東南部を中心に栽培されています。

ベトナム語でマンゴスチンは、タイ語の「マンクット」と同じように Măng cụt(マンクッ) と呼ばれています。ベトナムで最もおいしいとされるのは、ビンズオン省のライティエウ(Lái Thiêu)で栽培されている Măng cụt Lái Thiêu (マンクッライティエウ)です。

国内産最盛期は4月~6月

ベトナムでマンゴスチンはほぼ年中出回っていますが、ベトナム国内産の旬は4月~6月。それ以外の時期にも収穫できますが、品質があまり高くないようで、3月~9月までは主にタイからの輸入品が出回っています。タイのほうが栽培、収穫、収穫後の保管などの技術が優れているため、ベトナム人にもタイ産のもののほうが人気があります。

マンゴスチンはベトナムでも高級なフルーツに入りますが、だいたい1kg2万~3万VND(約110~160円)と、日本に比べると信じられないぐらいの安さです。

マンゴスチンの食べ方


中には5~7にわかれた白い果肉が

マンゴスチンは、ヘタを上にして水平方向にぐるりと皮に切れ目をいれると、皮の半分がパコっと外れます。この状態で、スプーンやフォークで果肉をとって食べます。皮の下半分をはずす方が簡単ですが、上半分をはずしたほうが、お皿に並べやすいです。

ナイフがなくても、手で果実を持って上下をつぶすようにすると皮に縦のひびが入るので、手で皮をはずして食べることができます。ただし、 皮に含まれる色素は染料にも使われるもので、洋服につくと色が沈着してしまいます。 手に付いた皮の汁が洋服などにつかないよう十分気をつけましょう。

ちなみに、マンゴスチンの実のお尻のほうについている「ヘタ」のようなものがちょっとかわいらしい。5~7枚の花びらがついた花のような形をしています。実は、この花びらの数が中の果肉がわかれた数と同じになっていて、よく観察すると、一番大きな房の部分のヘタの花びらは他よりちょっと大き目で、他の花びらと少し離れています。これを知ったからといって何の役にも立たないのですが、ちょっと面白いですね。ちなみに、一番大きな果肉には種が入っていますが、小さな果肉の種は退化しています。

  • 読者からの情報によると、お尻のヘタの花びらが一つだけ大きいのがあると種入りなのですが、花びらが全体的に小さくて揃っていると、種無しである可能性が高く、おいしいそうですよ。

選び方、保管方法

皮の色が明るい紫のものは食べるのにはまだ早く、黒に近いぐらいの濃い紫色のものが食べごろです。ベトナムの市場では見た目のよいマンゴスチンがあまり出回っていないので、選ぶのが難しいのですが、持ってみて皮が硬すぎず弾力があるものを選びます。皮が固いものは鮮度が落ちていますし、ナイフを入れるのもかなり大変。上についているガクもできるだけ緑色のものが良いです。皮にキズがたくさんあったり、硬くなったりしているものは、果肉が変色していることがあるので、注意が必要です。

マンゴスチンはあまり日持ちがしない果実で、乾燥に弱いので、買ったらすぐ冷蔵庫である程度冷やし、できるだけ早く食べたほうがよいです。しばらく保管したい場合は、 湿らせたキッチンペーパーにくるんでビニールに入れて冷蔵庫に入れる と3~4日はおいしく食べられます。

マンゴスチンは果皮がすごい

マンゴスチンは他の果物に比べ、おいしさでは突出しているといえますが、果肉の栄養面では際立った特長はないようです(もちろん他の果物同様、体に良いです)。

ただし、果皮にはキサントンと呼ばれるポリフェノールの一種の抗酸化成分が豊富に含まれています。キサントンは強力な抗酸化作用を持っており、 「天然の抗生物質」 と称賛されるほど。抗菌・殺菌作用、抗ウイルス作用、抗炎症作用、滋養強壮作用があるほか、強力な抗酸化作用、 がん細胞を攻撃するナチュラルキラー細胞の活性を高める効果 があるのだそうです。

とはいえ、皮は苦くてそのままでは食べられません。ベトナムでは古くから乾燥させて民間療法の薬として使用されているそうです。

【ポイント】皮が濃い紫のものが食べごろ。なるべくヘタが緑色で皮に弾力のあるものを選びましょう。