「家族みんなが好き同士」
~ベトナムの童謡(1)~

2016年08月17日公開

日本でも幼稚園で童謡を教えるように、ベトナムの幼稚園や家庭でも子供たちに童謡を教えます。たくさんある童謡の中でも、ベトナム人がほぼ全員歌える有名な童謡、 「家族みんなが好き同士 / Cả Nhà Thương Nhau(カーニャートゥオンニャウ)」 を紹介します。歌詞がとても簡単で覚えやすいだけでなく、なんともほのぼのとしていて、自然と笑顔になってしまう曲です。ベトナムの子供と遊ぶとき、この歌を知っていると一緒に歌えて楽しいですよ。

  • Cả=全て、Nhà=家、Thương=好き、Nhau=互いに
     

「家族みんなが好き同士 / Cả Nhà Thương Nhau」はこんな曲

歌っているのは、ベトナムで最も有名な子供歌手 スアン・マイ(Xuân Mai)ちゃん。 子供歌手といっても、彼女は1995年生まれで、今ではすっかり成人しているのですが、いまだに動画サイトには彼女の子供時代の映像がアップされます。2歳から活動を開始し、当時子供歌手がそういなかったこともあり、愛くるしい顔立ちと歌声でまたたくまに人々を魅了しました。6歳ぐらいまでは人気を博していましたが、やっぱり歌に無邪気さがなくなってくると人気に陰りが出てくるのは子供歌手の宿命なんでしょうか。現在も歌手活動をしているようですが、やはり大人になればたくさんいる歌がうまくて美人のライバル歌手がたくさんいて、激しい競争を強いられます。残念ながら、現在彼女をメディアで見ることは殆どなくなってしまいました。

スアン・マイちゃんの動画だとメロディーがわかりにくいので、大人の歌手が歌っているものも紹介しておきます。

この曲を作詞作曲したのは 音楽家ファン・ヴァン・ミン(Phan Văn Minh)氏。 元々は大学で化学を専攻し、卒業後は教師をしながら趣味で作曲していたそうです。この曲は1988年に、ミン氏が山岳部の学校に単身赴任していたとき、遠く離れた家族を想いながら僅か15分ほどで作ったのだそう。作曲の翌年、遊び心で童謡コンクールに応募したところ、優勝してしまい、そこから全国にこの曲が知られるようになりました。

受賞した時のちょっとしたエピソードがあります。授賞式でホーチミン市にやってきたとき、審査の際にこの曲を歌ってくれた子供にお礼を言おうとミン氏がその子の家を訪ねたところ、その子は母親と二人小さな家に住んでいて、父親は生まれる前に家を出てしまったのだということが判明。そんな子供がこの歌を上手に歌ってくれたお陰で受賞したことを思うと、感動で涙が止まらなかったそうです。


 
 

「家族みんなが好き同士 / Cả Nhà Thương Nhau」の歌詞

歌詞はとっても簡単です。通常ベトナムの歌曲は北部の発音で歌いますが、 童謡はどの地域の発音で歌っても大丈夫 (下の表のカタカナは南部発音)。また、一応歌詞は2番までありますが、1番を繰り返し歌うことが殆どです。

なお、ベトナム語では、子供は親に対して自分のことを「子供」といい、母親は子供に対して自分を「お母さん」、父親は自分のことを「お父さん」と呼びます。したがって、子供が歌えば下の歌詞の「子供」が「私」になります。歌う人によってどの登場人物が「私」になるか変わりますし、第三者的に歌えば「私」は登場しないことにもなります。

ベトナム語 日本語訳
Ba thương con vì con giống mẹ
バートゥーンコン ヴィコンヨンメ
mẹ thương con vì con giống ba
メトゥーンコン ヴィコンヨンバー
Cả nhà ta cùng thương yêu nhau
カーニャーター クントゥーンイウニャウ
Xa là nhớ, gần nhau là cười.
サーラーニョー ガンニャウラークゥイ
 
Ba đi xa thì con với mẹ
バーディーサー ティコンヴォイメ
mẹ đi xa thì con với ba
メディーサー ティコンヴォイバー
Cả nhà ta cùng thương yêu nhau
カーニャーター クントゥーンイウニャウ
Xa là nhớ, gần nhau là cười
サーラーニョー ガンニャウラークゥイ
お父さんは子供が好き、子供がお母さんに似てるから
 
お母さんは子供が好き、子供がお母さんに似てるから
 
家中みんな互いに好き同士
 
遠くにいれば恋しくて、そばで一緒にいれば笑う
 
 
お父さんが遠くに行けば、子供はお母さんと一緒
 
お母さんが遠くに行けば、子供はお父さんと一緒
 
家中みんな互いに好き同士
 
遠くにいれば恋しくて、そばで一緒にいれば笑う
 

 

カラオケで歌ってみよう

カラオケでは1番をひたすら繰り返すのが殆どです。