日越重国籍の子の出入国
~どっちの旅券を提示する?~

2016年02月22日公開

日本人とベトナム人カップルの間に生まれた子供の場合、日本国籍とベトナム国籍の両方を保有しているケースが殆どだと思います。重国籍の場合、各国を出入国する際、日本とベトナムどちらのパスポート(旅券)を提示すればよいのでしょうか。また、航空券を購入する際、日本のパスポートに記載された名前とベトナムのパスポートの名が異なる場合、航空券はどちらの名前で買えばよいのでしょうか。ここでは、「パスポート取得」「航空券の購入」「空港でのチェックイン」「出入国手続き」の順に解説します。


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子供のパスポートを取得する際の注意点

まず、両国の出生届を提出した後、それぞれのパスポートを取得することになりますが、日本名とベトナム名が違う(パスポートに記載されるアルファベット表記が1文字でも異なる)場合には、 日本のパスポートを取得する際に、ベトナム名を併記することをおススメします (ベトナムのパスポートに日本名を併記することはできません)。

名前の併記を希望するとパスポートの顔写真のページに、例えば日本名が「Nippon Taro」、ベトナム名が「Nguyen Van Viet」の場合、姓の部分に「Nippon(Nguyen)」、名の部分に「Taro(Van Viet)」と記載されます。

いったん併記なしでパスポートを取得した場合でも、後から追加することができます。更新の際、新しいパスポートにもそのまま併記されます。この併記を取り消すには記載事項変更申請など別途手続きが必要となります。

ベトナムでも日本でも、異なる名前の人物が同一人物である証明書は存在しないため、パスポートに名前を併記することが唯一同一人物である証明となります。特に空港でのチェックインの際に、 航空券の名前とパスポートの名前が異なる場合に、同一人物であることを証明する際に有効となります。 逆に併記していない場合、同一人物であることを証明できず、搭乗を拒否される可能性がありますので、注意が必要です。

ベトナムのパスポートと日本のパスポートで同じ顔写真を使用する というのも、同一人物であることを証明する手段となり得ますので、なるべく同じ写真を使用すると良いでしょう(写真が違っても問題はありません)。日本のパスポートは無背景であれば色がついていても構いませんが、ベトナムのパスポートは白背景に指定されていますので、同じ写真を使用したい場合は必ず白背景で撮影します。
 

航空券の購入に使う名前

ベトナム名と日本名が異なる場合、ベトナム名で購入することをおススメします。 後で説明しますが、出入国手続きの際には原則として出入国する国のパスポートのみ使用するからです。

出国の際には、出入国審査(イミグレーション)でパスポート及び航空券を提示することになっています。日本のパスポートにはベトナム名を併記できますのでどちらの名前で航空券を購入しても名前が一致しますが、ベトナムのパスポートには日本名を併記できないため、日本名で航空券を購入すると、パスポートと名前が一致しません。

ベトナムでは最近重国籍が認められるようになったため、出入国の際に複数のパスポートを提示しても重大な問題にはならなくなりましたが、やはり手続きをなるべく簡素に問題なく済ませるという観点でいうと、ベトナム名で航空券を購入するのが最も良い方法と言えるでしょう。
 

空港のチェックインカウンターでは両方のパスポートを提示

チェックインする際には、日本でもベトナムでも両方のパスポートを提示します。 これは、到着国に滞在する資格があることを確認するためです。到着国の国籍を保有していることを示せば、ビザなどがなくても問題なく搭乗手続きを行うことができます。搭乗ゲートでチケットとパスポートを提示するときは、チケットの名前と同じ名前が記載されたパスポートであればどちらを提示しても問題ありません。

また、ベトナムの航空会社では、子供の誘拐を防ぐため、チェックイン時に子供との親子関係を証明する書類(出生届)の提示を求められます(これは国内線でも必要)。 出生届(Giấy khai sinh)の公式コピー(Bản sao)を携帯しておきましょう。


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出入国審査では、出入国する国のパスポートのみを提示する

出入国審査を通過する際、 ベトナムの出入国審査ではベトナムのパスポートを、日本の出入国審査では日本のパスポートを提示します。 パスポートには、入国スタンプと出国スタンプが必ずセットで押される必要がありますので、誤って違うパスポートを提示しないように気をつけてください。

なお、入国する前にどこの国を出国したかについては問われませんので、日本のパスポートに日本の出入国スタンプのみしか押されていない、またはベトナムのパスポートにベトナムの出入国スタンプのみしか押されていない、という状態になっても全く問題ありません。


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出入国審査は、未成年の子供は親と一緒に審査を受けます。大人は一人ずつ受けますので、両親と子供と一緒にいく場合は、どちらかの親と一緒に審査を受けます。 ベトナムの出入国審査の際には、子供の出生証明書の提示を求められることがあります。

  • 重国籍者がベトナムのパスポートで日本を出入国することはできるの?
    法律に照らし合わせると、日本国籍保有者がパスポートや戸籍謄本など日本国籍を証する文書を保有していない場合、ベトナムのパスポートで入国することはできますが、ベトナムのパスポートで日本を出国することはできないことになっています。何らかの理由で日本のビザを取得してベトナムのパスポートで入国した場合は、入国後に入国管理局に戸籍謄本等を提出して在留資格抹消手続きを行い、日本で日本のパスポートを取得して日本のパスポートで出国しなければなりません。(但し、実際問題として、日本国籍保有者がベトナムのパスポートで問題なく日本を出入国した例はありますので、あくまでも法律上の話です)

日本、ベトナム以外の第3国にいく場合

その国に入るときと出るときに同一のパスポートを使いさえすれば、どちらのパスポートで出入国してもかまいませんが、 その国に入国する際に有利な待遇を受けるパスポートを使用します。

例えば、ベトナム人はビザが免除されるのに、日本人だとビザを取得しなければならない国へ入国するときには、ベトナムのパスポートを使用します。逆に、日本人ならビザ免除という国へ入国する場合は、日本のパスポートを使用します。日本人、ベトナム人いずれもビザが必要という場合には、国際的な信用度は日本人のほうが高いので、日本のパスポートを使用したほうがビザの取得が簡単で、入国審査もスムーズに通過できる可能性が高いです。とにかく重要なのは、 入国・出国ともに同一のパスポートで行う ということです。
 

まとめ

◇出入国審査の際、日本では日本のパスポート、ベトナムではベトナムのパスポートのみを提示する

◇航空会社のチェックインでは、両方のパスポートを提示する

◇ベトナムの出生届の公式コピーを携帯する

◇第3国での出入国では、ビザ免除などより有利な待遇を受ける国のパスポートを使用する

 
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