寝台バスでニャチャンへGO!
~HCMからナムフオン利用~

2016年01月15日公開

日本にはないけれどベトナムにはある交通手段、ご存知ですか? それは 「寝台バス」 です。日本の夜行バスは椅子席しかありませんが、ベトナムや中国、インド、英国など一部の国では、バスの中に2段ベッドを設置した寝台バスが運行されています。

ベトナムの長距離の移動は飛行機か鉄道、バスという選択肢がありますが、出発日直前だったり、祝祭日がからんだりすると、飛行機や鉄道のチケットを押さえるのは相当困難。その点、バスは比較的チケットが取り易く、値段も割安ですので、ベトナム人に最も使われている交通手段です。

旅行先で日中の時間を有効に使えるということもあり、特に夜行バスを利用する人が多いですが、座席が普通の椅子席と寝台では快適さが全然違います。今回は、 ホーチミン市からビーチリゾート都市ニャチャン( カインホア省 )への寝台バス を紹介します。


© VIETJO Life

チケットはどこで買うの?

ホーチミン市発の寝台バスを運行している旅行会社は幾つもあります。旅行会社のオフィスは 1区ファングーラオ街区 に集中しており、オープンバスツアー催行で外国人に最も知られているシンツーリスト(シンカフェ)ハンカフェ などが寝台バスを運行しています。電話での予約やウェブサイトで購入することもできますが、寝台バスの場合座席を指定できますので、 オフィスに直接出向いてチケットを購入するのが一番確実で安心な方法です。

今回は、ベトナム人客が殆どを占める ナムフオントラベル が催行する寝台バスを紹介します。シンカフェやハンカフェといった大手に比べて寝台バスの導入が遅かったため、バスが新しくて快適であること、あまり知られていないので料金が安く、繁忙期でもチケットが取りやすいという利点があることから、筆者が最近よく利用している寝台バスです。但し、サービスや安全といった面について優れているとは言えませんので、なるべく安心なものをという人は大手を利用したほうが良いでしょう。


© VIETJO Life, ナムフオントラベルのファムグーラオ通りオフィス

ホーチミン~ニャチャンの寝台バス料金は、状況によりますが 片道20万VND(約1100円)前後 です。祝日は料金が上がり、特にテト期間が絡むと倍に跳ね上がります。また、子供料金の設定はなく、親と同席する子供は無料です。座席の横幅が狭いので、子供の体格にもよりますが4歳以上は1人分の席を確保しないと厳しいと思います。足の間に子供寝かせ、頭をお腹に載せるスタイルになると思うので、長時間その体勢を維持するのが大丈夫かどうか、というのを目安にすると良いでしょう。


© VIETJO Life, 発車時刻が近づくと、オフィス前にバスがやってくる

寝台バスのことをベトナム語で 「xe giường nằm(セーズオンナム / セーユゥンナム)」 (xe=車、giường=ベッド、nằm=横たわる)と言います。米国では一般的に「Sleeper bus」と言うようですが、ベトナムでは「Sleeping Bus」と言うことが多いようです。

チケットは往復で購入可能で、オフィスで座席表を見ながら席を選ぶことができます。1階席と2階席がありますが、上の席のほうが揺れが大きくなりますので、バス酔いする人は1階席をおすすめします。 一番揺れにくいのは中央座席のど真ん中下段です。

いよいよバスに乗車!

以前はファムグーラオ通りからバスが乗車できましたが、2016年3月から路上駐車禁止になったため、現在は9月23日公園にあるバス乗り場から乗車します。バスがたくさん並んでいますので、下の地図の印がついているあたりにいけば、すぐわかると思います。

ナムフオンは黄色い車体です。ホーチミン市を夜9時半に出発し、ニャチャンへは朝6時到着予定。約8時間半の長旅です。


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乗車前にまずバス下のトランクに荷物を預けます。荷物には貴重品や壊れ物は入れないようにしてください。また、その場に置いておくと、置き引きや積み忘れの可能性があるので、荷物が積まれたことを確認してからバスに乗り込みます。


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バスに乗り込む際にチケットを提示します。階段のところで靴を脱ぎ、係員からビニール袋を受け取ってその中に靴を入れ、座席まで持参します。靴がくさい人は、他の人の迷惑にならないようにしっかりとビニールの口を閉じましょう。


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バスの中では小さなペットボトルの水とおしぼりが配られます(おしぼりは朝到着時に配られる場合もあります)。フオンナムの室内灯は毒々しい色をしていますが、出発して間もなく消されます。

どの席が快適なの?


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内部はこのような2段ベッドが3列に並んでいます。荷物の置き場は殆どありませんので、手荷物はコンパクトに。シンカフェのシートは布張りですが、ナムフオンは合成皮革張り。個人的には合成皮革張りのほうが弾力があって寝心地が良いと思います。また、他の旅行会社のバスの枕は硬いのに対し、フオンナムの枕は軟らかいです。


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前の人の座席の下に足を入れる方式なので、足の匂いが漂ってくる心配はあまりないです。一番先頭の座席は、足を入れる場所がない分、座席の長さが若干短くなっています。背の高い人は先頭座席は避けましょう。


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一番後ろの座席はこのように3座席(シンカフェの場合はトイレが中ほどにあるため5座席)がくっついています。子供を連れて家族で行く場合はこのような席を選ぶと良いかもしれません。但し、シートベルトが使えず、リクライニングもできません。また、バスはエンジンが後ろについているので、バスのエンジン音と振動が他の席より大きくなります。


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我が家は3人家族なのでこの後部座席を利用。ナムフオンのバスは、2階席だと座席の後ろにかなりのスペースがあり、そこに靴を入れられるので場所をかなり広く使えます。


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座席の長さも他の場所より長く、身長165センチでこれだけ長さが余ります。但し、天井部分が低くなっており、読書灯がありません(他の席は読書灯がついていても使えなかったりしますが)。


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寝台バスにはトイレがついているため、トイレ休憩を取らない場合があります(故障して使えない場合はトイレ休憩あり)。トイレが近い席に座ると、トイレに行きやすい利点があると同時に、開け閉めの音が気になったり、トイレに行く人が近くにあるベッドのヘリをつかむので、そのたびに足に人の手や体が当たりして、しょっちゅう目が覚めてしまうというデメリットもあります。


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ちなみに、長距離バスでは荷物だけの搬送も受け付けています。バイクまでトランクに入れて運んでしまうのがすごいです。

ニャチャン到着


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ニャチャンには翌朝5時半~6時に到着しますが、祝祭日で渋滞していると7時過ぎてしまうこともあります。ナムフオンのニャチャンオフィスの場所は、以下の地図を参考に。復路のバス乗り場もここになります。

住所:10 Nguyễn Thiện Thuật, Tân Lạp ward, Nha Trang City
TEL: 058 3529 529 / 058 3527 588 / 058 3527 589

(看板には「10 Nguyễn Thiện Thuậtと書いてありますが、Google Mapでは「1 Nguyễn Thiện Thuật」の位置あたり)


© VIETJO Life, 夜はこんな感じ

持っていくと便利なもの

バスの中は場所によってかなり冷房が効いています。毛布が配られますが薄くてサイズが小さいので、 1枚羽織れるものを必ず持参しましょう。 足元が冷えやすい女性は靴下も。マスクを持っていくとノドの乾燥も防げます。

また、座席には小さい枕がついていますが殆ど用を足しませんので、 空気で膨らませる枕 を持っていくと便利です。エンジン音、室内音楽など騒がしいことがありますので、音に敏感な方は 耳栓 を。室内灯は消されますがカーテンを引いても街頭がかなりまぶしいので、 アイマスク があったほうがぐっすり寝られます。


© NgBK

中央部の席は、夜中までモニターがついていることがあり結構まぶしいです。スピーカー下の席は音が結構うるいことがあります。手元では音量調整できませんが、係員に言えば音量を下げてくれます。

寝台バス利用の際の注意

貴重品の管理には十分気をつけましょう。 バス内での盗難が頻発していますので、お財布やスマートフォンは通路と反対側のポケットの中や容易に手が入れられないポケットなどにしまうようにします。

日本で寝台バスの運行が許可されないのは、安全上の問題と言われています。義務付けられていませんが、 必ずシートベルトを装着するようにしましょう。

祝祭日は市内に出入りする道が大渋滞して、時間通りに到着しないのが普通です。 あらかじめ1~2時間遅れることを念頭に置いて予定を立てましょう。

そのほかの注意点についてはこちらの記事に詳しいです→ 「長距離バスで旅しよう(2) ~乗車時の注意点~」

 
なお、寝台バスは、ホーチミン市~ニャチャン間だけでなく、ホーチミン市~ファンティエット・ムイネー間や、南部~中部~北部の各都市を結ぶ路線など、全国で運行されています。(参考: Sinh Travel運行スケジュール

また、ホーチミン市からメコンデルタ地方に行く場合は、 「長距離バスで旅しよう(1) ~寝台バスが便利~」 を参考にしてください。

 
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長距離バスで旅しよう(2) ~乗車時の注意点~