データでわかるベトナム

【第64回】ホーチミンとハノイではどちらに日本のお店が多いのか

2023年05月16日公開

ホーチミン・ハノイではどちらが日本好き?

好きな国や、海外の料理、行ってみたい海外の国・・などの項目で日本の好意度を調べてみると、ホーチミン・ハノイともに数値が高いことがわかります。ハノイの人々の間で韓国料理や文化への関心が高い一方で、ホーチミンの人々の間では欧米の文化であったり、より興味の対象が多面的だったりといった特長はありますが、ホーチミンの人々もハノイの人々も日本に高い関心を持っている点については確かです。

ホーチミンの日本食飲食店はハノイの2倍以上

一方で、日系企業の都市別の進出状況を見てみるとホーチミンとハノイでは状況が異なっているようです。例えば食の分野に関してベトナムのレストラン検索サイトの「Foody」で登録飲食店数を調べてみると、ホーチミンで1217店舗の日本食関連のレストランが登録されているのに対して、ハノイでの登録数は半分以下の562店舗に留まっています。これは韓国レストランでも同じ傾向で、ホーチミンにより登録店舗数が多いのが一因にあります。とはいえ、全体のベトナムレストランを除く日系レストランの割合を見てみても、ホーチミンで13%に対してハノイは8%ですので、全体の割合でみてもホーチミンの方が日本食関連のレストランの割合が多いといえると思います。

中級寿司チェーンや日系ファーストフードの進出が早いホーチミン

また、日系飲食チェーン店の進出企業数を都市別に見てみても同様の傾向が見られます。特にベトナム人ローカルをターゲットにした中級寿司チェーンの進出がホーチミンでは進んでいるのがわかります。またSukiyaや丸亀うどんなどのチェーン店もホーチミンでの店舗展開が目立っています。

ハノイで活躍する日系小売店

この傾向は小売全体でも同様です。ホーチミン・ハノイの両方に店舗を展開しているのは、イオンやユニクロ、MUJIなどに限定され、殆どの小売チェーン店舗がホーチミン・ハノイのどちらかに集中しています。特にコンビニエンスストアの南部への集中が目立っています。一方でハノイの方にはSakuko、Fujimart、Tomibunのような「日本」を全面に出したスーパーや日用品の店舗が目立っている点は非常に興味深い点かと思います。ハノイに大手小売が進出し切れていないことや、ハノイの人々の日本ブランド需要をこういった日系の小売企業が取り込んでいると考えられます。ハノイの人々の間で日系ブランドへのロイヤリティが高いのも一因かと考えられます。

異なるホーチミン・ハノイの市場

こうしてみると、ホーチミン・ハノイの間では、日本好きな人々を取り込む小売環境に違いがある点がわかります。決してハノイに日本商品・サービスの需要がないということではなく、大手企業は市場の魅力からホーチミンを最初のターゲットとして選択することが多い一方で、ホーチミン・ハノイという二大都市を効率的にカバーすることが物流などのオペレーションの面から難しいことが一因としてあるのではないかと思います。

ベトナムの市場を考える上で、二つの大きな都市が存在し生活スタイルが異なる点は、他の東南アジアの国々になり難しい点かと思います。とはいえ、ベトナム人の親日性はベトナムでビジネスを行う上での大きな日本企業にとっての武器になるのは間違いありません。

株式会社Asia Plus代表取締役社長 黒川賢吾

株式会社Asia Plus ( www.asia-plus.net )代表取締役社長。

NTT、ソニー、ユニクロにて海外マーケティングを担当。

2014年にAsia Plusを設立しベトナムマーケットリサーチサービス「Q&Me( www.qandme.net )」を展開中

データでわかるベトナム一覧へ

関連ニュース