【第4回】俺の山飯 〜土砂崩れからの食レポ~

2017年09月01日公開

皆様、ご無沙汰しております!
Threads 代表の東山です。

表題の通り、今回は 命がけの食レポ をお届けしたいと思います。
一切盛ってませんので、ご安心ください!

今回お邪魔させて頂いたのは、東北部地方 バクカン省 にある バーべー湖 周辺に住むタイ族のトゥアン一家です。

タイ族によくある懸造に似た木造の家が湖沿いの山体斜面に建っています。
ベランダから眺めると湖が自分を包むようにすぐ目の前で悠然と流れていて、その臨場感というか「0距離感」は、まさにモルディブの水上コテージが思い出されます。

そんな絶景を求めてハノイから7時間をかけてきましたが、その道のりはまさに命がけ。

土砂崩れで道が行き止まり。
目的地まで30kmもあるところでバスに見事に見捨てられ、これには困り果てました。

やっとバイクを呼んで、これで大丈夫と思いきや、道全部が流されて完全に行き止まりです。

「さあ!靴を脱いで歩こう!」
ベトナムって楽しいですね。

 

さて、そんなこんなで命がけで到着したバーべーにて、 本題の「山飯」です
こんなところに住むタイ族の方々は一体どんな料理を食べているのでしょうか。
今回ご紹介するのは以下の4品です。

1、ミニ鯉の素揚げ(Cá suối rán giòn)
2、豚肉のカレーリーフの包み焼き(Thịt lợn cuốn lá móc mật)
3、ひき肉とエビの漬物炒め(Tép chua rang thịt)
4、ドライジャングルバナナと洞窟バーベキュー(Chuối hột rừng)

 

ミニ鯉の素揚げ

ミニ鯉と言われてすぐにイメージがわかない方が多いと思いますが、こんな魚です。

素人の僕からして見れば「ししゃもじゃん!」と思いますが、ししゃもと違って淡水魚の鯉らしいです。

原始的な漁に同行させていただきました。
小雨ながらも、ぜひ体験してみたいという無理なお願いをして、竹ボードに乗船させてもらいます。

悠々としているように見えるかもしれませんが、足元は相当揺れてます・・・。
そして渡されたのはこれです。

仕組みは簡単、傘みたいな骨組みを作ってそこに網を張るだけ。
餌とかの仕掛が一切なく、一番下まで潜らせたら、引き揚げるだけです。
要はちょうど網を引き上げるタイミングに、魚が網の真上あたりを泳いでくれればいい。

「さあ〜鯉たち頼むぞ!俺に合わせて、真上に泳いできてくれ!」と心の中ではちゃんと鯉たちにお願いをしたつもりでしたが、予想通り一匹も捕まえられず、 自然界のサバイバルはそう甘くない ということだけが分かりました。

調理法はとてもシンプルです。
塩、お酢、ベトナムバージョンの味の素を洗った魚に塗り込み、10分くらい置いておきます。
そしてそのまま素揚げ。

肝心の味の方ですが、まあ悪くないってところです。
よくある塩味に酸味がかかって、酒のつまみにはちょうどいい一品。
やはりししゃもに見た目も味も似ていました。

豚肉のカレーリーフ包み焼き

ベトナムでは常にいろんな種類の葉っぱに出会います。
最近では ベトナム料理の醍醐味はもはやフォーとかよりも葉っぱにあるのではないか と思うようになってきました。

「カレーリーフ?カレーの味がする葉っぱ?」と想像を膨らませながら、ホストファミリーのママに付いて行ったら・・・

すぐ裏の庭の木でした!
これがカレーリーフか!
身の回りのものから調達、さすが山の民族

数枚摘んで、手に取ってみました。

まぁ見た目は普通なので、一口食べてみました。
カレーの味は全くないが、インド料理のチキンと一緒によく出てくる葉っぱじゃないか!
なるほど、カレーリーフはカレーの味じゃなくて、インドに由来するからカレーリーフって名付けられたんだなと。

作り方はまずは豚肉を葉っぱで包めるくらいのサイズに切って、フィッシュソースとスパイスをしばらく揉み込みます。
その後カレーリーフで包み、串を刺したらまたも素揚げ。

油っぽく見えますが、カレーリーフのおかげで割とさっぱりとした食感になっています。フィッシュソースのしょっぱさもカレーリーフの独特なミント味で中和され、とても美味でした。

ひき肉とエビの漬物炒め

完成型はこんな感じです。

一見何が何だか分からないと思いますが、めっちゃ美味しいです。
まあ 発酵物なので、一口目はやはり癖のある味で慣れない方もいると思いますが、ご飯との相性が抜群
味は中国の 豆腐よう とちょっと似ていて、酸味に甘みそしてしょっぱさが混ざっている感じです。

そして、こちらがエビの漬物です。

バーべー地域の特産物で、エビをお酢、塩、スパイスでつけてご飯と一緒に瓶の中で発酵させます。
およそ1週間もすれば食べられるそうです。
これのおかげでその夜はご飯3杯も食べちゃいました。
ダイエットされている方には相性が悪い代物ですね。

ドライジャングルバナナと洞窟バーベキュー

ホームステイ先に到着した矢先に、地面一面に広がる虫みたいな物体。
テンションが上がって近づいてみると、その正体は 干されているバナナ

個人的には虫であって欲しかったのですが、残念。

その後、このようなところでもう一回焼いたら完成。
このドライバナナはベトナムの焼酎に漬けるのもいいですし、漢方的効果もあるそうです。
肥満、糖尿病、高血圧、腎臓、腰痛 、色々万能ですよ、とホストファミリーのママが力説をしていました。
勝手な推理ですが、ジャングルバナナは甘くないからその分体の糖分を吸収してくれるのかな?
上記の病状がある方は是非バーべーにお越し頂いて、試してみてください。

そして、最後に 洞窟バーベキュー です。
まあ平たく言えば、そんなに特別なことではないのですが、よくハノイにもある路上バーベキューを コウモリがいっぱいいる洞窟 に移しただけですが、実はある意味で絶妙な商機を掴んでいるかと思います。

実を言いますとコウモリは多くのばい菌を持っていて、その住処は異臭を放っています。
「コウモリを見に行くぞ!」と出発した時には張り切っていた人も、洞窟に着いた途端に後悔する可能性は大いにあります。
そんな人たちにとって(私も含めますが)、このバーベキューは絶好の場所なのです。
なぜなら異臭がまだ薄い入り口にあるのと、バーベキューの香りで臭いをごまかすことができるから。
まさに 洞窟のファブリーズ と言っても過言ではありません。

今回は山飯ということで、簡単にいくつかの料理を紹介させて頂きました。
山飯は身の回りの食材を十分に生かし、割とシンプルに作るものという感触を受けました。

次回は私の本職でもある、少数民族の手芸品についてご紹介したいと思います。
特に民族系の製品に関して「これ本物?」とか「これ高いの?」といった色々な疑問があるかと思います。
これらに関して次回のコラムで少し内部事情をお伝えいたします。

Threads 代表 東山

貧困層女性の自立支援を行っております非営利型社団法人代表の東山です。少数民族の伝統工芸をこよなく愛し、常に「村めぐり」をしております。村民達とさし飲みをしてます。

今回の連載は弊団体の活動とともに、観光だけでは見られない村人の「素」な一面を読者の皆さまにお見せできれば幸いです。

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