日本人に人気の会社
~選ばれる企業の3つの共通点~

2017年07月03日公開

以前もお伝えしましたが、ベトナムで働く日本人は大きく分けて 駐在員と現地採用 のどちらかに当てはまります。駐在員とは日本の本社から派遣されて世界各国で働く人、一方現地採用は海外拠点の会社で働く人のことです。今回はベトナムで働く現地採用について取り上げます。

年々増えている日本人のベトナム現地採用のニーズ。今回のテーマは、ベトナム就職を考えている日本人が、どういう判断基準でベトナムの入社先企業を選択するのか、 どのような企業が日本人就職希望者に人気があるのか にフォーカスしていきたいと思います。

 

「ベトナム就職希望者 ≠ ベトナム第一希望」という現実

まず最初に重要な大前提をお伝えします。採用する企業側は、ベトナム就職希望者はベトナムの求人だけに応募しているものだと考える傾向にあります。もちろん、「ベトナム就職希望者 = ベトナム一本で転職活動している」人も中にはいますが、そういう人はベトナム人の配偶者がいるなどの理由がある人でむしろ少数派です。

では、どういう人がベトナム就職を考えているかというと、 「ベトナム就職=海外就職先の選択肢の1つ」 と考えている人が大多数になります。

つまり、ベトナム就職希望者には、 ベトナム人の配偶者・パートナーがいるからベトナム就職を考えているケースと、他国での就職も視野に入れながら各国各社を比較検討しながら海外就職を考えているケースの2つに大別できるということです。

そして、ベトナム就職希望者の中でベトナムに限定して仕事を探している人の方が少ないという現状を鑑みると、採用側は「ベトナム就職=海外就職先の選択肢の1つ」と考えている大多数の就職希望者も当然のことながら選考対象にしていかなければならない、ということです。

そういった背景を考慮しつつ、どういった企業が日本人就職希望者に人気があり、選ばれる傾向にあるのかについて、人気の企業に共通する3つのポイントをお伝えしていきます。

 

日本人就職希望者に人気の企業

<ポイント1>選考スピードが速い

企業が複数の就職希望者を比較検討しながら採用する人物を決定するように、就職希望者も同時に数社の選考を受け、比較検討をしながら最終入社企業を決定します。彼らの就職活動、転職活動における「軸」は、仕事内容・給与・勤務地など、人それぞれではあるものの、総じて 早く採用決定を判断できる企業には良い印象を抱く傾向 にあります。

第一志望の企業であっても、選考スピードが遅ければ、志望度が低下してしまうのが人間の心理というもの。採用側が少しでも良いと思った就職希望者は、必ず他の企業も「良い」と感じています。良い人材獲得のためには、まずスピードを重視した選考が重要と言えるかと思います。

 

<ポイント2> 意向上げが上手い

続いては、「意向上げ」です。これは、要は良いと思った人材を確保していくために、 「自社に対する就職希望者の志望度を上げる」こと です。

一次面接ではその位置付けとして、相手がどういう人間か「チェックする」意味合いが多分にあるかと思います。しかし、選考が進んでいく過程で、「どちらかというと採用したい人材」なのであれば、 その人材を採れるように囲い込んでいく、あるいは囲い込むために動ける企業は、結果的に採りたいと思った人材の獲得に成功 しています。

就職希望者の意向上げにつなげやすいポイントとしては、「会社が目指している方向性」、「入社後のステップアップ」などが挙げられます。昇進・昇格に関してであれば、過去の事例を基に説明ができると就職希望者の志望度が非常に上がりやすくなります。

 

<ポイント3> 労働環境の良さ(社風、同僚との関係性)

最後は労働環境についてです。先の2点とは違い、今すぐ変えられるものではありませんが、就職希望者に好まれる環境・条件として、以下2つが挙げられます。

1つは、 社員同士のコミュニケーションが活発な環境 。よく言われる言葉だと、「風通しの良い会社」といったところでしょうか。仕事上の厳しさがあることは理解しつつ、上司と部下、日本人とベトナム人の間でコミュニケーションが活発に行われているような環境を希望する人が非常に多いです。

もう1つは、 組織を引っ張っていく「強いリーダー」が好まれる 傾向にあります。いわゆる「◯◯さんに惚れ込んで」というケースですね。仕事内容もさることながら、会社の代表や直属の上司の志向性に強く共感し、入社を決意する就職希望者も多くいます。

以上、いかがでしたでしょうか。今回は、ベトナムで日本人に人気のある日系企業についてお伝えしました。日本人の現地採用を考える時、希望してくる人の中には「ベトナム就職=海外就職先の選択肢の1つ」という人がいるという前提も頭に入れて採用活動をしなければなりません。本当に採用したいと思う人がいたら、意向上げなる囲い込みをしたり、スピーディーに選考を進めることが鍵です。また、普段から就職したいと思ってもらえるような風通しの良い会社作りをするのも大事ですね。現地採用を考える企業、採用担当の人に今後の採用活動の役に立ててもらえればと思います。

<執筆協力>
JellyfishHR Co.,Ltd
2013年8月から日系人材紹介会社としてベトナムに進出。現在「ハノイ 」「ハイフォン」「ホーチミン」の3拠点にて、日系、非日系問わず人材紹介サービスを提供しており、SNSを活用した無料求人サイト「Billion」の運営、また日本語教育サービスを提供している。
ホームページURL → http://jellyfishhr.jp/
ベトジョーライフでコラム連載中 → 「Voice ~ベトナム最前線で働く人の声~」