シラミをうつされた!?
~ベトナムでできる対処法~

2016年04月22日公開

先日、ベトナムの公立小学校に通う息子を迎えに行ったら、先生から「ものすごく頭を痒がっていたのでチェックしたら、 シラミがいました 」と報告が。シ、シラミ!?? 今までシラミなんて見たことがなかったので驚きましたが、ベトナムではまだまだシラミの集団発生が多いのだとか。ベトナムの小学校では昼寝の時間があり、皆でゴザを敷いて雑魚寝するので、うつりやすい環境だと思います。家では痒そうにしている様子はまったくなかったので、ほんとにごく最近うつされたようでした。

ネットでシラミのことを調べてみると、日本ではあまり見なくなったシラミがだんだん増えているのだとか。シラミをあまり見なくなったことで、子供の頭にシラミがいても親が気づかず、ひどくなってからようやくシラミとわかるため、その間に幼稚園や小学校で他の子供にシラミうつしてしまうケースが多いのだそう。ということは、ベトナムに来た日本人もシラミをよく知らないのではないか、というわけで、今回はシラミをうつされたときの対処法を紹介します。
 

正式名称は「アタマジラミ」

「シラミ」といってもいろいろな種類がいるのですが、人の頭に寄生するのは 「アタマジラミ」 と呼ばれるもの。 ベトナム語でChấy(チャイ) と言いますが、南部では chí(チー) というのが一般的です。どちらも声調を少しでも間違えると全く通じない難しい単語です・・・。

このシラミは人の頭でしか生きられないため、動物からうつされるということはなく、感染元は他の人の頭(もしくはその頭が触れたばかりのもの)ということになります。特に子供がうつりやすいのですが、大人にも寄生します。頭をくっつけたり、枕や敷布、櫛、タオル、帽子などを共用することでうつる可能性がありますし、ベトナムだと ヘルメットの共用でうつることが考えられます。 アタマジラミは人間の頭を離れてから2日程度は生きているそうです。


© Gilles San Martin CC BY-SA

上のアタマジラミの画像を見ると「うえーーっ!」と思いますが、実物は2~4mmしかありませんのでご安心を・・・。髪の毛の色と同化するのだと思いますが、もっと黒い色をしています。

シラミの予防方法は、シラミがいる可能性がある人と頭が触れるものを共用しないということになります。バイクタクシーを利用する人は、マイヘルメットを持参したり、ヘルメットの内側に1枚タオルやハンカチなどを挟んで使うなどすれば、防ぐことができます。
 

シラミがいるって、どうやってわかるの?

シラミが発生すると、吸血するので頭が痒くなります。人によってはアレルギー反応を起こすケースもあるようです。でも、他の理由でも頭が痒くなることもありますよね。シラミの成虫は黒っぽく見える上、ノミのように飛び跳ねたりしないで、地肌や毛髪の上を這って歩くので、シラミそのものをすぐに見つけるのは難しいかもしれませんが、シラミの卵は白くてしっかりと毛髪にくっついているので、すぐに判別することができます。


© VIETJO Life

息子の頭を見てみると、フケのような白いもの(矢印の先)がチラホラ。これがシラミの卵。指でつまんだりして髪の毛から取り除くことができるかどうかで、フケやホコリと見分けることができます。卵の場合は取れません。


Wikipedia

上の画像のように、シラミの卵は髪の毛を取り巻くようにしっかりとくっついており、爪でかなり強くしごかないと取ることができません。

髪の毛を掻き分けてみると、シラミの成虫が地肌を這っている様子が見えるのですが、すぐに隠れてしまうので、捕まえるのは困難でした。また、捕まえられても硬くてノミのように簡単にはつぶすことができないそうです。
 

シャンプーと櫛でシラミ退治

シラミの成虫と卵をいっぺんに退治することはできません。退治方法としては、 成虫に対しては「シャンプー」、卵に対しては「櫛でとかすこと」 が最も効果的です。
 

シャンプーで成虫退治

息子にシラミが見つかったとき、学校の先生のアドバイスに従って薬局でシラミ退治用のシャンプーを購入しました。

ベトナム語では Dầu gội đầu trị chấy(ザウゴイダウ チーチャイ) 、南部では Dầu gội đầu trị chí(ヤウゴイダウ チーチー) と言います。(Dầu gội đầu=シャンプー、trị=「治」)


© VIETJO Life

ベトナム企業が作っているもので、1本100ml入りが7000VND(約34円)という安さなのにびっくりしてしまいました。普通のシャンプーより安い!(日本では2000円とか結構な値段みたいです)。薬局のほか市場でシャンプーやヘアケア用品を専門に扱うお店でも購入することができます。


© VIETJO Life、英文で使用方法も記載されています

液体を手にとってみると、ガソリンのような臭いが・・・。シラミとりシャンプーは平たく言えば、シャンプーに殺虫剤を混ぜたもの、仕方ないか・・・。日本の商品はたぶん、この臭いとか、人体への安全性とかはもっと考えられていると思います。

ガソリンのような臭いに、使うのを一瞬ためらいましたが、ベトナムでは昔から一般的に使われているのに特に大きな問題になってはいないので、シラミをひどくしてしまうよりは短期間で一気に退治しようと、使ってみることに。使用方法は次のとおりです。

(1)髪をぬらして、通常のシャンプーと同じ程度の量を手にとってシャンプーします。
(2)いったんすすぎます。
(3)もう一度シャンプーし、泡だった状態のまま3分間放置します。
(4)しっかりと洗い流します。(ガソリン臭は残りませんでした)
(5)1週間に3回ぐらいの頻度でシャンプーします。
※アレルギーが心配な場合は、パッチテストをしてから使用してください。

難しいことは何もないですが、液が目や口に入ることがないよう、十分に気をつけてください。なんせ殺虫剤ですので。もし目や口にはいったら、すぐに流水でしっかり洗い流しましょう。もちろん、子供にやらせず、大人がやってください。

1回シャンプーするだけで、成虫は死んでしまいます。卵が孵化して成虫となってまた卵を生む前にシャンプーで殺してしまえば、もうこれ以上増えないということになります。箱には週に3回程度使用と書いてありましたが、息子はシラミがさほど繁殖していなかったので、殺虫剤をそんなに頻繁に頭に振り掛けるのはと思い、1回使ったあと、1日置いて1回、その3日後にもう1回使用しました。

なお、殺虫剤入りシャンプーなんて使いたくないという場合、普通のシャンプーでも退治することができるそう。頭を洗って泡だてたまま、5分ほど放置すると、シラミは窒息死してしまうそうです。また、シラミの成虫は毛髪にしっかりとしがみついているのですが、シャンプーすると地肌から毛髪のほうに逃げるので、すすぐ前にクシでとかしておくと、シラミが取れやすいそうですよ。この場合も、子供が一人でやるのは難しいですので、大人がしっかり手入れしてやりましょう。
 

櫛でしっかりとかして卵退治

シラミ退治シャンプーを使っても卵には効果がありません ので、卵はひとつひとつ取り除くしか方法がありません。孵化した後の茶色い卵の殻も髪に付着したままです。 歯が細かいシラミの卵取り専用のクシが売られていますので、それを使用します。 これも市場でシャンプー類をたくさん扱うヘアケア用品店で購入することができます。私は市場で2万VND(約98円)で買いました。

ベトナム語では一般的に、 Lược chải chấy(ルオックチャイ チャイ) 、南部では Lược chải chí(ルオックチャイ チー) と言います。(lược=櫛、chải=とかす)


© VIETJO Life

日本ではステンレスの長い歯がついたシラミの卵取り専用の櫛があり、歯には卵がとりやすいよう溝が切ってあったりして優れもののようですが、高価なせいかベトナムではあまり流通していないようです。

但し、ペット用であればステンレス製の歯の細かい櫛があり、ペットショップやスーパーで比較的簡単に手に入ります。こちらのほうが手に入れやすいと思いますが、子供の髪は細くて柔らかいので、毛質によっては効果がない場合もあります。値段は4万VND(約196円)程度。

専用の櫛がなくても、手元に目がつまった櫛(昔ながらのツゲ櫛など)があれば代用できますので、まずはそれで卵がとれるか試してみると良いでしょう。とかした後に白い紙の上で櫛をトントンし、白い卵や茶色い卵の殻が落ちてくれば、その櫛で取り除けたと判断できます。

髪が乾いているとからまりやすいのと、卵もとれにくいので、髪をぬらしてからとかしたほうが良いそうです。また、コンディショナーをつけると髪が痛みにくくなるので、シャンプーのあとコンディショナーをしてから櫛を通し、その後すすぎをすると楽かもしれません。櫛に髪の毛を通すと、櫛に卵が付着します。櫛をそのままにしてまたとかすと頭に卵がついてしまいますので、1回とかすごとに水ですすいだほうが良いでしょう。髪の根元から、特にうなじ、おでこの生えぎわ、耳の後ろ、もみ上げまでしっかりとかします。
 

専用シャンプーを1回して、その後毎日しっかり櫛を通しておくと、3日もすればシラミはいなくなります。最初の処置をしてから10日経って成虫や卵が出てこなれば、完全に駆除できたとみなしていいそうです。櫛でとかすのは結構めんどうですが、他の人への感染元とならないよう、短期集中でしっかり駆除しましょう!