【第14回】少数民族バナ族のユニークな文化

2019年12月27日公開

こんにちは、青年海外協力隊の山田邦永(やまだくにはる)です。2017年10月より、ベトナムの非政府組織(NGO) VIRI でハノイを拠点に 活動 しています。

かつてベトナム戦争時に南ベトナム空軍及びアメリカ空軍の主要空軍基地であったプレイク空港から東へ90km、中南部高原地方の ザライ省 にあるモホラ村で、現在VIRIは、コミュニティ・ベースド・ツーリズムを展開するプロジェクトを進めています。本コラムでは、モホラ村に住む少数民族バナ族のユニークな文化について紹介します。

少数民族バナ族のユニークな文化

バナ族の集会施設、ロン

バナ族のそれぞれの村には、ロン(Rong)と呼ばれる、茅葺きの巨大な屋根を持つ集会施設があります。本来は未婚の男子の寝所でしたが、それに加え、祖霊の祭祀場、会議場、ゲストハウス、夜間の見張りの小屋としても使われています。ハノイ市にある ベトナム民族学博物館 には実物大のロンが展示されており、中に入ることもできます。

バナ族の伝統音楽、銅鑼で奏でるゴング・ミュージック

バナ族に伝統的に受け継がれるゴング(Gong)と呼ばれる銅鑼で奏でるメロディーは、バナ族の信仰上の神聖なシンボルです。両親に感謝をする儀式、稲の神に豊作を祈る儀式、水牛を供犠として捧げる儀式等、伝統的な行事において、大小様々なゴングから響く音階を男性が奏で、そのメロディーに合わせて女性が踊ります。

バナ族の織物

バナ族の少女たちは、12~13歳になると、母親や祖母から織物や刺繍を教わり、ブランケットやカーペット、花嫁衣裳を手作りするようになります。使う道具は非常にシンプルで、腰にひもで固定した板と筒状の道具を器用に動かしながら、宇宙や空、大地、その他、様々な自然を象った、緻密な紋様を作り上げていきます。

「Heritage of Future Past」プロジェクト

現在VIRIは、ユニークな文化の現存するザライ省のモホラ村を基点に、持続可能なコミュニティ・ベースド・ツーリズムの実現をとおして現地の少数民族バナ族の生計向上を支援するプロジェクト「Heritage of Future Past」を展開しています。本プロジェクトのドナーであるBritish Councilによる、非常に美しいザライ省の動画をご覧ください。

連載終了の挨拶

コラム 「ベトナム・フェアトレードの旅」 は第14回の本記事をもって連載を終了いたします。これまで読んでくださった皆様、本当にどうもありがとうございました。

私は青年海外協力隊の2年間の任期を終えて、2019年10月に日本へ帰国いたしました。任期中には、ハノイを拠点に、全63省・市のあるベトナムの様々な場所を訪問し、出張と旅行を合わせ、その数は56省・市にもなりました。ベトナムに滞在していた2年間、ベトナム各地の非常に多くの方々に支えていただき、感謝してもしきれません。今ではベトナムを第二の故郷のようにさえ感じています。

さて、私のベトナム生活を支えてくれた影の存在が、本を読む時も、考え事をする時も、事務作業をする時も一緒だった、ベトナムのコーヒーです。ベトナムのコーヒーに対する私の想いは、ハノイ市内のトークイベント、 ハノイMED x Talkライフプロジェクト での発表( コーヒーについてコーヒーを巡る旅について )にも込められています。そしてその想いが実り、2020年1月より、ベトナムのコーヒーに関わる仕事を始めます。コラムの連載は終了いたしますが、私の「ベトナム・フェアトレードの旅」はこれからも続きます。皆さまもぜひ、それぞれの「フェアトレードの旅」を引き続きお楽しみください!

青年海外協力隊 山田邦永

ベトナムのNGO、VIRI で、ハノイを拠点に活動中の青年海外協力隊隊員が、彩り豊かな「ベトナム・フェアトレードの旅」へと皆さまを案内します。VIRIは世界フェアトレード機関(WFTO : World Fair Trade Organization)から国際フェアトレード組織として認められたベトナム唯一の団体です。

著者略歴:1983年生まれ。愛知県出身。東京大学卒業、東京大学大学院修士課程修了(分子生物学)、ビジネス・ブレークスルー大学大学院修士課程修了(MBA)。元ファイザー勤務、元ジョンソン・エンド・ジョンソン勤務(R&D)。現在、青年海外協力隊(任期:2017年10月~2019年9月、活動概要:VIETJOベトナムニュース記事参照)。2019年10月に日本へ帰国。

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