データでわかるベトナム

【第66回】ベトナムの店舗の日商はいくらくらいなのか?

2023年06月13日公開

ベトナムでビジネスをしていると店舗の日商はどのくらいなんだろう、と気になることがあります。日本と異なり多くのデータがあるわけではないのですが、大手企業のIR資料などから売上を推測することは可能です。ベトナム大手の店舗売上について推測をしてみました。

店舗ごとの小売日次売上高と月次売上高は次のように計算できます。「小売店の店舗以外の売上やオンライン販売」「年度中の店舗数の変化」などの不規則要素はあるものの、大まかな売上を推測するには十分な方法かと思います。

  • 店舗当たりの月商:「年間小売売上高」/「店舗数」/12ヶ月
  • 店舗当たりの日商:「年間小売売上高」/「店舗数」/365日

ベトナム大手小売の店舗当たりの日商・月商は?

ミニスーパー・スーパーマーケット

スーパーマーケット・ミニスーパーマーケットの業界を見てみましょう。 2022 年の売上高を示す IR 資料に基づいて、大手小売店の店舗当たりの売上高は以下のように推定されます。Bach Hoa Xanhの店舗当たりの日商が1900ドル、WInMart+が800ドル、WinMartが8000ドルと推測できます。 WinMart はスーパーマーケットですが、WinMart+ と Bach Hoa Xanh はミニ スーパーマーケットですので、店舗サイズが異なるため売上高も異なります。

コーヒーチェーン

IR資料が入手可能な大手チェーンのHighlands Coffee と Phuc Longについて日時・月次の売上を下記のように推測できます。店舗当たりの売上はHighlands=日商700ドル、Phuc Long=日商1400ドル 、となります。Highlandsについては賑わっている店舗を見るともう少し日商が高いような印象もありましたが、IR資料から推測するとこのような形になります。

薬局チェーン

大手薬局チェーンのLong ChauとAn KhangのデータはがIR から入手できるため、日次/月次の売上高は下記のように推定できます。このカテゴリーは店舗数が大きく増えているため、 店舗当たりの売上高は実際はもっと高いかと思います。

IT・エレクトロニクス

Dien May Xanh、The Gioi Di Dong、FTP Retail データは IR から入手できます。 Dien May Xanh / The Gioi Di Dong の売上が低く感じますが、一つの実店舗で両方のお店を運営しているケースが多いことに起因しているかと思います。

ベトナムの小売チェーンの難しさとは

ベトナム経済が好調になるにつれて、全体の小売売上高は増加していますが、これらのデータを見るといくつかベトナムでの店舗運営の難しさが見えてきます。例えば、ミニスーパーマーケットを見てみると 1 日あたりの収益は 800 ~ 1,900 ドルですが、これは他の国に比べて低めです。 店舗フォーマットは異なりますが、日本の平均的なコンビニエンスストアは 1 日あたり約 4,000 ドルの売上を上げており日商の差額は 2 ~ 3 倍にもなります。日商の違いは主に平均単価によるものではないかと思います。日本の コンビニ での平均販売価格は 5.2 ドル(700円強)ですがベトナムのお店はかなり安めです。

一方で、固定費の負担は高めです。依然として人件費は安いものの、特に都市部の賃料の高さが収益のネックになっているという話はよく聞きます。これらの平均単価の安さと賃料の高コストが、ベトナムで小売事業で収益を上げることのネックとなっています。

こちらの詳細内容は 当社ウェブサイト で閲覧可能です。

株式会社Asia Plus代表取締役社長 黒川賢吾

株式会社Asia Plus ( www.asia-plus.net )代表取締役社長。

NTT、ソニー、ユニクロにて海外マーケティングを担当。

2014年にAsia Plusを設立しベトナムマーケットリサーチサービス「Q&Me( www.qandme.net )」を展開中

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